1998年の日記

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12月26日

『暗闇坂の人喰いの木』
 島田荘司/講談社文庫

 横浜、暗闇坂。
 かつて、処刑場があったというその土地に巨大な楠が生えている。在任の血を吸って育ったというその木に耳を当てると不気味なうなり声が聞こえ、木のうろをのぞくと、人の骸骨が入っている。
 ……そんな怪談を背景に、古い洋館で起こった事件。人間の仕業とも思えないそれは、本当に大楠の仕業なのか!?
 事件の謎に挑むのはおなじみ名探偵、御手洗潔。
 これを読んで思うのは、作者、島田荘司がホラー好きなのではと言うこと。
 ただ怖い物を描写するのではなく、古くから延々と受け継がれてきた怨念のように、歴史的背景と共に蓄積されてきた恐怖を描くのが実にうまいです。
 「水晶のピラミッド」のときのように、前半部分、一見現代と関係のない物語が、どのように謎解きにからむのかが見物。
 また、この作品はシリーズの準レギュラーである女優、松崎レオナの初登場作品です。
 レオナと御手洗の人間関係の変化にも注目ですね。


12月19日

『斜め屋敷の犯罪』
 島田荘司/講談社文庫

 北海道の原野にそびえる、一見の館。
 微妙に斜めに傾いた母屋と、ピサの斜塔のごとき鏡の塔。引退した企業家が道楽で建てたこの屋敷を舞台に発生する殺人事件!
 推理小説に出てくる建造物は、まさに殺人のために用意されたようなものです。
 しかし、ここで断言しましょう。
 この「斜め屋敷」こそ、殺人舞台の中の殺人舞台。まさに、人を殺すためだけに存在するような建物なのです。
 密室、奇妙な死体。目撃された怪しい人物。そのどれもが論理的な思考には邪魔なものばかり。登場人物と同様、混乱する読者の前に御手洗潔はいつ現れるのか?
 個人的には今回、石岡君の出番があまりないので残念。『斜め屋敷』は2作目らしいですが、まだシリーズとしての体裁が固まっていないのかも知れません。

12月12日

 新宿高島屋タイムズスクエアに佐藤竹善さんのIn store liveを見に行ってきました。
 実を言うと佐藤竹善という人は、ラジオで少し知っている程度でした。ライブも、友人の誘いで行ったのです。
 行ってみるとHMVはなかなかの混雑でした。整理券をもらっていなかったので、すぐ近くまでは行けなかったのですが、普通 のライブではお金を払ってもここまでは近づけないだろうという距離。
 竹善さんはステージに上がるなり「直前までトイレに行こうかどうか迷ってました」と発言したり青森弁講座などをやったりして笑わせてくれました。
 さて、曲目は……よく憶えていないのですが発売されたばかりのアルバムの中から歌ってくれたようです。ビートルズやクラプトンなどのカバー曲など。英語の発音がきれいなのが印象的でした。あと、竹善さん声がいいいんですよ。マイクを通 してじゃなくて生で十分に聞こえます。こればかりはTVやCDではわかりません。
 誘ってくれた友人に感謝。
 アンコールの「Wonderful tonight」は歌詞解説つき。サビの部分の解説の「Because I can see love fot me in your eyes……君の瞳の中に愛が見えるから……by 河村隆一」は個人的にツボにはまってしまいました。
 無料なのに豪華一時間の内容。大満足です。次はチケット買って武道館へ行きたいところ。

12月07日

『水晶のピラミッド』
 島田荘司/講談社文庫

 ご存じ、御手洗潔シリーズです。
 アメリカ、ピッチポイントにそびえ立つピラミッドのレプリカ。その中で、一人の男が溺死した。女優・松崎レオナに事件解決の依頼を受けて御手洗潔はアメリカに飛ぶ……。
 この物語は、古代エジプト、沈没した豪華客船タイタニック、そして現代のアメリカで展開される3つの物語が展開します。一件、何の関係もないように見えるこれらの話がからみあい、そして御手洗潔の手によって一つの物語として紡がれるのです。
 推理小説という形態ではありますが、ピラミッドについての解釈や大胆な仮説はそれだけでも一つの作品となりそうなボリューム。
 探偵という地位だけに留まらない御手洗の実力を見せつけてくれます。

12月01日

『異邦の騎士』
 島田荘司/講談社文庫

 目覚めてから自分が記憶喪失であることに気がついた……。
 車の鍵はあっても、運転免許証はない。
 自分が何者なのか、何をしていたのか、記憶も手がかりもないまま、出会った女性と暮らし始めた主人公。幸福な生活の中、主人公は自分の過去に苛まれる。
 ……自分は殺人者なのか?
 おなじみ、石岡辰巳の語りではない本作ですが、これも御手洗シリーズ。
 石岡君と出会う前、占星術師であったころの御手洗潔が活躍します。
 記憶喪失の男が苦悩しながらも自分の過去を探りながら、運命に立ち向かっていく。
 推理小説と言うよりはサスペンスの色が強いのですが、最後のどんでん返しはやはり島田荘司。先に他のシリーズを読んでいる御手洗ファンには結末が予測できるかも知れませんが、それでも予定調和を楽しめます。

11月27日

 さて、最近は島田荘司の御手洗シリーズにはまっています。

『占星術殺人事件』
 島田荘司/講談社文庫

 昭和11年に起きた猟奇的大量殺人『梅沢家占星術殺人事件』
 迷宮入りしたその事件から数十年後、占星術師御手洗潔の元に、関係者が残した資料がもたらされる。
 数々の名作を生み出した島田荘司は、この作品でデビューを飾りました。
 6人の若い女性がバラバラ死体で発見され、動機があると思われる人物もすでに殺害されていた。これだけでも事件は難解であるのに、事件を捜査する御手洗潔は40年後の人間で、彼には何の証拠も残されていないのです。そして、その前には知恵を絞って敗れていった人間が無数にいます。
 つまり、すでに「解決できなかった」というレッテルの貼られた事件に挑戦するわけですから、その困難は想像に難くありません。
 劇中の人物もさることながら、「多くの人間が挑んで解けなかった事件」という風呂敷を広げてしまった作者に対する期待も大きいわけです。当然ですが、普通に考えてわかるようなトリックだったら興ざめですし、かと言って反則的なオチではいけないわけですかから。敢えて作者に難しい状況設定を使った島田荘司の自信がうかがえますね。
 さて、推理小説という性質上、あまり内容には触れないでおきます。
 語り手、石岡和己と一緒に事件を考えてみて下さい。


11月23日

 一昨日、演劇を見に行ってきました。
 劇団てぃんかーべるの第25回講演で、演目はなんと京極夏彦「魍魎の匣」です。
 正直なとこ路あの複雑な話をどのように演劇化するのか、そちらの方に好奇心があって劇の内容云々という意識はあまりなかったのですが、実際に始まって見ると、舞台の上には紛れもない京極ワールドが広がっていました。舞台の雰囲気や役者の演技、衣装やメイクまで完璧に近く、そこまで本格的なものだとは思っていなかった僕としては驚きを禁じ得ませんでした。
 女性ばかりの劇団なので、木場刑事などの男くさい役はできないのですが、舞台上の血気にはやった若者と言った木場刑事にもまた味がありましたし、京極堂や関口などはイメージ通り。3時間という長いものでしたが、あっと言う間に終わってしまいました。
 劇団てぃんかーべるのHPはこちらです。


11月1日

 このサイトをご覧になっている方はご存じかと思いますが、僕はポストペットを使っています。
 ネットを初めてすぐに飼い始めたのですが、ペットが相手のポスペまでメールを運んでくれると言うのが面白くてかなりはまりました。ペットをやりとりする友達も増え、ほとんど毎日のように誰かのところにメールを出したものです。
 ペットはミニウサギのT・アリス(メス)で500通のメールを運んだ大ベテランだったのですが、ついに寿命が来ていなくなってしまいました。600日でした。
 周囲にそこまで長くポスペを飼っている人がいなかったので寿命がどのくらいで来るのか、寿命が来たらどうなるのか知らなかったのですが、いなくなる前の日にそろそろお別れって言うメールが来てちょっと気分が沈んでしまいました。
 本当のペットと違って、何もかもプログラムされたものかも知れませんが、愛着を持っていただけに失ったショックは大きいです。
 物に人格を持たせるだけでこうも愛着がわくというのは面白いものですね。


10月30日

 久々の更新となります。
 8月あたりからバイトが忙しくてなかなか家に帰ってこられず、更新するヒマがありませんでした。まあ、完全に時間がなかったというほどでもないのですが、HP作成ソフトのAdobePageMillが異様に重く、立ち上げる気がしなかったというのが大きいです。
 ストレス発散のためのネットでストレスを貯めていては本末転倒ですからね。
 まあ、数ヶ月のバイトでお金も貯まったのでここは新しいマシンを購入しようと思い、PowerMachintoshG3/450を購入しました。おかげで軽い、軽い。何のストレスもなく様々な作業が出来ます。これなら、以前のようにHPの更新もできると言うものです。
 更新が止まっている間、ずいぶんといろんな方からメールなどで発破をかけられました。少しはその期待に答えていこうと思います。メインとなる本の紹介ですが、実はバイトで忙しい間、あまり本を読んでいなかったので元々更新のための材料もなかったんですけどね(笑)
 またバリバリ読んでいこうと思っています。みなさんもお勧めの作品や作者などありましたら教えて下さい。


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