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10月1日
書感です。
「KUNIE -パンゲアの娘-」
作者:ゆうきまさみ
出版:小学館少年サンデーコミックス
定価:390円
初版:2001年10月15日
ゆうきまさみの新作には常に驚かされます。
これまで「究極超人あ〜る」「機動警察パトレイバー」「じゃじゃ馬ぐる〜みんUP」と来ましたが、すべてジャンルはばらばら。絵のタッチすらそれぞれ微妙に違うんですね。
ナンセンスなドタバタ学園ものである「あ〜る」からロボットを働く乗り物として現代社会にきちんと社会に組み込んだ「パトレイバー」へ、そして競馬がテーマの青春コメディ「じゃじゃ馬」へと続きます。
「ゆうきまさみの果てしない物語」などのエッセイを読んでわかるのがこの人のマニアぶりというのが果てしなく広いという事ですね。いろいろと知識と取り込んで口うるさいようでいながら、なんとなくバカっぽさを失わないというイメージがあります。
小学生、日向アキラの元に行方不明になっていた祖父の孫だという従兄弟のクニエがやって来る。南の島で生まれ育った彼女が日本に来た目的はなんと「アキラのお嫁さんに来たでよ!」というもの。ドタバタとした日常の中、クニエ故郷カラバオでは海の中にそびえる不思議な柱が出現していた……。
いわゆる「居候もの」ってありますよね。
ドラえもん、オバQなど藤子不二夫が得意としたパターン。
最初はこの漫画、南の島から来た名古屋弁を喋る少女が引き起こすドタバタコメディ……と思ったのですが、柱の出現によって話がどうやら違う方向へ行きそうです。
「全編夏休みのような漫画を描きたい」と作者のまえがきもあり、これからの展開には期待大。
南太平洋で行方不明になってからずっとカラバオで生活していたという曲者の祖父とクニエ、そしてアキラはこれからどう関わって行くのでしょうか。
ちなみに「クニエ」の発音は「↑↓↓」となる日本人名ではなくて「↑↑↓」だそうです(笑)
10月2日
書感です。
「明治通沿い奇譚」
作者:東郷隆
出版:新潮文庫
定価:440円
初版:平成8年6月1日
この本、なにげなく手のとったのですが作者の名前は実に懐かしいです。僕が小学生の頃、PCエンジンに「定吉七番」という007のパロディのアドベンチャーゲームがあって、その原作となる「定吉七は丁稚の番号」などの定吉シリーズの作者がこの東郷隆なのです。当時、あちこちで探しましたが原作は見つからず、今もネットで調べてみたら「入手不可」となっていました。と、いうわけで長年頭の片隅にあった作者ですが初読です。
「明治通沿い奇譚」は、東京を舞台に書かれた短編集です。
奇譚というタイトルには惹かれる事が多いんです。奇譚って言ってもホラーなのか笑い話なのかは読んでみるまでわかりませんよね。この「明治通沿い奇譚」もそうです。短編集なのですが、ちょっと変わった人が出てくるだけの話から主人公が遭遇した不思議な出来事まで様々。
東郷隆は自分自信を作品に投影しているのか主人公は「トーゴ」さんなどと呼ばれていたりします。主人公は別に怪しくもない普通の人なのですが、どことなくとぼけていると言うか、常識的に妙な事は否定するのにどことなくそういうものに適応しているような感じです。
東京という街の雑多な雰囲気の中になら存在してもおかしくない人々や事件。東郷隆の視点は住み慣れた人の目になってそういった物語を描写しています。
10月3日
書感です。
「ケロロ軍曹 4巻」
作者:吉崎観音
出版:角川書店
定価:540円
初版:2001年10月01日
関連書感はこちら
ひたすらマニアックに読者を笑わせる吉崎観音のコミック「ケロロ軍曹」4巻です。
3巻は同じマニアックでもどうも安易な方向に走ったような感じであまり面白くなかったのですが、今回はその反動か大いにはじけています。マニアックなギャグというのはあくまでテイストであって、やはり漫画が面白くなければダメという事ですね。
地球征服にやってきたケロロ小隊はすっかり地球の日常になじんでしまい、プラモデルを作ったりテレビを見たりという堕落した毎日。日向家の手伝いをして小遣いをもらうという情けなさです。本人達も自分がそういう状態なのをわかっているので、時々思い出したように「征服計画」を実行するのですが、すでに彼らの性質を熟知した日向家の長女、夏美に阻まれたり自爆したりとまるで進みません。4巻ではついに「いかに母星に自分たちが征服計画をしているように見せかけるか」という主題になっているように見えます。
さて、一口にマニアックと言ってもいろいろありますが、この人はガンダムや黄金時代のジャンプ漫画の台詞を引用したり演出のパロディをやってみたりというのが多いです。
そもそも宇宙人がガンダムにはまるっていうシチュエーションだけで十分おかしいのですが、あちこちにさりげなくパロディをちりばめるのがうまいので、余計に笑えます。小ネタなんかを見つけたときはなかなか嬉しいです。
あまり少年漫画やロボットアニメがが好き、という人以外にはお薦めできませんが、ケロロ軍曹自身の脱力するようなデザインといい、一度は見せたいと思う漫画です。
10月5日
書感です。
「走れコヨーテ」
著者:戸井十月
出版:角川文庫
定価:340円
初版:昭和63年4月10日
北米大陸縦断の耐久レースに挑む主人公、風戸進介は高校を中退し、ただバイクに乗るためだけに生きている。元モトクロス選手の高木と共にメキシコへやってきた風戸は16000キロの旅へと出発する……。
青春バイク小説、と銘打たれた作品です。
これまで、パリダカのドキュメントなどは読んできましたが、バイクのラリーっていうのはあまり知らなくてそういう意味では新鮮でした。身体のバランスがそのまま走行に影響するバイクは体力的に四輪よりずっとハード。砂漠という過酷なコースは大きな自然の壁として進介の前に立ちはだかります。
と、いうところを楽しめはするものの、小説として出来はイマイチ。バイクに対する情熱があるというのはわかるのですが、それがどういう情熱なのか、どうしてそうなのかが実感としてまるで伝わってきません。描写などもただそこにあるものを書いているという感じで、文章もそんなにうまくはないと思いました。
主人公がどんな思いで走っているのか、そしてレースの体験から何を得たのか、そしてこれからどうしていくのか。そういったものは文章として存在はします。が、この先どうなるかとハラハラしたり、主人公の未来を思い描いたりといった雰囲気には全然ならないんです。全体的に描写力が不足しているのでしょうか。
物語の方もただ淡々と進みます。何人か仲間や友達と言える人物が出てきたり、メキシコの事情に触れてみたりはしていますが、それも特に魅力的とは思えませんでした。
まあ、たまにはこういう事もありますね。
別な機会に読んでいたらあるいはまた別な感じ方があったのかも知れません。
10月6日
書感です。
「あずみ 23巻 雪と別れ」
作者:小山ゆう
出版:小学館ビッグコミックス
定価:505円
初版:2001年11月1日
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あずみ「雪国死闘編」完結です。
天海の命により、幕府の隠密としてとある北国に潜入したあずみ。そこでは戦に飢えた浪人たちが「理想の国を作る」として叛乱を起こそうとしていた。彼らの指導者である静音はあずみと同じ青い瞳を持つ人間。しかし、その聖人のような言動の裏には人を平気で殺める残忍さと人を自在に操る狡猾な頭脳があった。あずみは罪なき農民たちを戦から救えるのか……?
「あずみと同じ存在」という様に描かれていた静音。青い瞳を持つ者同士の運命的な邂逅……と北国編が始まった事は思ったのですが、結局のところ似ているのは外見だけ。静音の性格は青い瞳のために隔離され、人を恨んで育ったために大きく歪んでしまっています。しかし、その瞳の色で「神の子」とあがめられた時、人を自由に出来るという快感が彼を大量殺人へと駆り立てるのです。
楽な暮らしがしたいという農民達の切実な思いをあざ笑い、殺し合わせようとする静音。戦がなくなって自らの存在意義を失った羅刹烏たち。なぜ、彼らはそうまで血に飢えるのか?
あずみのこれまでの人生は血塗られています。世のため、人のために危険な人物を「枝打ち」するのだと教えられ、育ってきた彼女は徳川家康を討ったために刺客から逃げ続ける毎日を送っていました。
自分が生き延びるために仕方なく人を斬る……という事の繰り返しに疲れた彼女は、天海に保護され「任務」という名の下にまた人を殺します。
今回は結局、静音という絶対的な悪を相手にしましたが、当初は農民に慕われる静音を疑う事ができず、大いに悩んでいました。
剣を取れば誰よりも強いあずみ。世の中を守るには、そして変えるにはまだ剣の力しかないのか?
次回、新章突入でまだまだ期待です。
10月7日
さて、教習所日記第8回です。
終了検定に受かってはいるものの、学科試験に通らないと路上に行けません。と、いうわけで会社を休んで仮免学科試験を受けに行きました。
効果測定からずいぶん時間が経っているので完璧とは言えず、2時の試験に備えて午前中は勉強。演習問題などやってみましたがけっこう90点ぎりぎり。
多少の不安は残しすつつも自動車学校へ行き、試験を受けました。やってみると以外と出来、もしかしたら間違っているかもと思うような問題が全体で4問。全部間違っていたとしても92点は取れるのでまず合格だろうとは思いました。
さて、いよいよ発表。検定のときと同じでスライドで映し出されます。受験者は16人いたのですがなんと合格者はたったの4名。僕もなんとか合格していました。特に前半のマニュアルの人たちは全滅です。埼玉県は日本で一番、学科試験が難しいという事ですがこれはいくらなんでもひどい結果でしょう。
ちなみに、100点をとって記念のボールペンをもらった人が3名いました。つまり、僕だけ100点じゃなくてちょっと恥ずかしい……。
さて、試験は受かったので翌日に応急処置の授業を予約して3時間の講習を受けました。一応、知識などはあったのですが人形を使っての演習は初めてなのでけっこう面白かったです。
でも、心臓マッサージなんかはかなり体力勝負ですね。
また、こういう知識はあると便利かも知れないですが出来れば使いたくないし、増して自分が応急手当をする原因にはなりたくないものですね。
今週は授業のみで教習はなし。来週は初の路上になります。
第二段階で1日3時間乗れるし、予約も多く取れるのでなんとか11月には卒業したいところです。
10月8日
書感です。
「御手洗潔パロディサイト事件2 パロサイホテル 上」
著者:島田荘司他
出版:南雲堂
定価:1200円
初版:2001年9月4日
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昨年の10月27日に紹介した「御手洗潔パロディサイト事件」の第2弾です。そのときにパロディサイト事件を「島田荘司が書いた御手洗パロディ作品集」として紹介しました。しかしこれは勘違いで、実際に書かれた御手洗潔シリーズのパロディ小説を島田荘司が厳選し、編集して出したものだろうです。これにはいろいろと事情があるらしくあくまで島田荘司著として出したということですが、それを知った今では収録されているパロディ小説のレベルの高さに驚きます。
もちろん、作者本人ではないので推理が甘かったり、文が洗練されていなかったりはしますが、そこに込められた御手洗潔と石岡和己に対する想いのみではなく推理小説として十分に面白い作品になっているのです。
さて「パロディサイト事件2」は単なるアンソロジーではなく、アンソロジーを通読することによって一つの事件を解決できるという構造になっています。
招待され、日本海の小島にやってきた石岡和己と犬坊里美。
そこには廃業したホテルがあった。かつてのオーナーは遺産を地下に隠したまま自殺。その遺産を見つけるための鍵はホテルのそれぞれの部屋に置かれた御手洗潔のパロディ小説だと言う。石岡と里美は謎を解くため、小説を読み始める……。
御手洗潔の見る夢や、海外にいる御手洗が帰ってくる話、他にも初期短編を思わせるような作品など、内容は様々。途中にはさまれた島田荘司のインターミッションでは石岡和己がパロディ小説を読んで涙するなどあってなかなか面白いです。
そして気になるのは解決編ですが、これは下巻を読まなければなりません。現在、読書中です。
10月9日
書感です。
「ヒカルの碁 14巻」
原作:ほったゆみ
作画:小畑健
出版:集英社少年ジャンプコミックス
定価:390円
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「ヒカルの碁」は地味な漫画なので読み始めた当初はこれほどのヒットになるとは思っていませんでした。
ついにネットを通して囲碁名人、塔矢光洋と対局を始めた藤原佐為。その最高レベルの応酬は世界中の注目を集める。そしてその決着は囲碁界に大きな波紋を投げかけるのだった……。
佐為と光洋の対決で何よりも大きな力を得たのはヒカル。佐為の弟子とも言える彼ですが、その実力は佐為を通じてだけではなく多くの人々に認められるようになっています。
密かにヒカルをライバル視する名人の息子、塔矢アキラ。若手筆頭の緒方プロ、倉田プロ。そんなヒカルに佐為は寂しさを感じるとともに、ヒカルが自分を越えたとき、自分の存在が消えてしまうのではないかと危惧します。
さて、今回何よりも良かったのは名人、塔矢光洋の囲碁に対する姿勢でしょうか。
「月下の棋士」では名人を神とし、そこに執着するドロドロの対決が面白かったのですが「ヒカルの碁」はそういう点に対して恐ろしく淡泊です。佐為に負けたら囲碁界を引退すると宣言していますが、それはプライドのためだけではないのです。
囲碁を愛するという事に対し、光洋に勝る人間は今のところいないかも知れません。ヒカルやアキラなども囲碁に惹かれ、囲碁にかけた人間ではありますが、その懐の深さはまだまだです。そのあたりは詳しく書いてしまうと今回の楽しみが減るので次巻発売時に書きたいと思います。
10月10日
書感です。
「湾岸MIDNIGHT 21巻」
作者:楠みちはる
出版:講談社ヤンマガKC
定価:505円
初版:2001年10月5日
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湾岸MIDNIGHTはやはり台詞が魅力。今回も何度か読み返したところがありました。
自動車評論家、城島の下でアルバイトをするようになったアキオは城島の持つ知識だけでなく「車を知る」という事を吸収する。かつて城島が乗っていたRX-7
FCを探しに御殿場まで足を伸ばしていたアキオと城島はガソリンスタンドでFCを発券する。ロータリー専門という御殿場のプライベーターにチューンされたそれはかつての輝きを増していた。FCを再び自分の手に戻したいという城島に対しプライベーター林は「FDではなくFCで走る意味」を求める。城島のFCと林のチューンしたFDは首都高で勝負をする事に……。
車を愛する者のストーリー「湾岸MIDNIGHT」
車に乗ること、車を改造すること、車を知る事。登場人物達の車に対する情熱はそれぞれですが、出てくる人々は皆、その情熱をアキオに知ってもらいたいと願います。
特別に車が好きというわけではなかったアキオがZと出会って変わったように、アキオとZはかつて走りに情熱を燃やしていた大人たちを再び結びつけ、火をつけます。
さて、そのアキオとZのように城島がこだわるのはRX-7 FCです。「頭文字D」でも主人公のチームリーダー高橋涼介が乗り「マイナーな中に流れる孤高のスピリット」と評したマシンは世界でただ一社、マツダだけが作れるロータリーエンジンを搭載しています。軽量コンパクトでフロントが軽く、軽快なハンドリング性能を持つ……というイメージのロータリーマシンですが、かつて筑波の最高速トライアルに挑もうとした城島にとっては前後重量比50:50のグッドバランスマシンなのではなく、あくまでハイパワーマシンなのです。
車は20年ごとに進化するという城島。89年にスカイラインGT-Rが登場し、その20年前の69年にはフェアレディZ。ロータリーのFDが現代のスポーツカーならFCはすでに旧世代のマシンなのです。
それでも、アキオのZがポルシェやGT-Rにも負けずに走っているのを目の当たりにしている城島はFCで首都高を走りたいと考えるようになるのです。
湾岸MIDNIGHTのドライバーたちは当然、速さを追求します。
しかし、それは必ずしも最善の追求ではありません。自分のやりたいやり方でやる、というのが彼らの流儀です。時速300キロというスピードは簡単に人の命を奪っていきます、だからこそ自分のやり方でなければマシンに命は預けられません。
城島が登場してからの「湾岸MIDNIGHT」は車を知るという事の追求。ベストを知った上で自分の選択をしてこそ本当に自分の道ができます。
旧世代であるはずのFCが首都高でどんな走りを見せるのか、注目です。
10月11日
書感です。
「御手洗潔パロディサイト事件2 パロサイホテル 下」
著者:島田荘司他
出版:南雲堂
定価:1200円
初版:2001年9月4日
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さて、パロディサイト事件2の後編です。
ホテルの各部屋に置かれたパロディ小説から隠し財産を見つけ出すヒントを得ようと奮闘する石岡と里美。自分たちの事が書かれた小説に感動したり、笑ったりしながら過ごす夜は過ぎていく。難解な謎を前に、石岡の推理は冴えるのか……?
パロディ小説とは言いますが、これはもう御手洗シリーズをヒントにしたオリジナル小説と言っても良いでしょう。シャーロック・ホームズものでは同種の短編が出版されていまよね。
しかし、それを作者が健在なうちにやってしまうというところが素晴らしいです。石岡の作品に対するコメントはそのまま島田荘司のコメントとも受け取れます。
下巻には江戸時代を舞台に御手洗と石岡が活躍する話や、御手洗と石岡、松崎レオナと犬坊里美が小学校の同級生という設定で展開する話など変わり種もありますが、どれも見事な短編に仕上がっています。
しかし、やはり何より気になるのが島田荘司の書き進める本編の方。パロディ短編を読みながらも、これがどう本編と絡んでいくのかを考えてしまいます。
前作の「御手洗潔パロディサイト事件」では収録されたのがファンの書いたパロディと確知らず、島田荘司作の偽作だと思っていたために多少の不備は「わざとだ」と考え評価は甘かったと思いますが、パロディだとわかって読んでいる今回は多少厳しいです。文章が洗練されていなかったり、推理や展開に疑問を憶える事もあります。御手洗や石岡という人物に対する解釈の違いも感じます。それでも面白く読めてしまうのは作者も読者も御手洗ファンだからでしょうか?
もちろん、作者に対する評価はその人の本当のオリジナルを読まなければ下せません。しかし、誰もが立派な御手洗作家である事は間違いないのです。
さて、本編の最後、解決編がありますが。やはりそこには一番の感動があります。これだけ多くの優れた作品を並べておいても、おいしいところは島田荘司が持っていくのです。
作者がやはり、誰よりも御手洗と石岡を愛しているのではないでしょうか。だからこそこれだけの長い年月、作品は続いているのですね。
島田荘司じゃない御手洗ものは別に読みたくないという御手洗ファンの方もいるとは思います。僕もパロディだけだったら読まないかも知れませんが、これはある意味、すべての短編を合わせて島田荘司の作品と言えます。ですから是非、一読をお薦めます。
10月13日
書感です。
「半径500mの日常」
著者:群ようこ
定価:420円
出版:文春文庫
初版:1993年10月9日
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エッセイではもうお馴染みという感じの群ようこ。
この人のエッセイは常に一定の調子で面白いので、どれを読んでも同じとも言えます。でも、これは連載で毎週とか毎月読んでいる人にとってはもっと面白いんだろうなと思います。雑誌連載向きの人ですね。
一冊にまとまってはいますが、このエッセイ集はいろんな雑誌に載せたのをまとめたもの。タイトルの付け方などは後で編集したからかも知れませんが、話題がつながっていたりもするので読み終わるまでずっと一本の連載なのだと思っていました。
さて、タイトルに「半径500m」とある通り、ごくごく日常の事をしゃべり続けたのがこのエッセイ。すごいエネルギーを持った母親の話や、満員電車の話題、結婚している友達の様子など面白可笑しくいろいろ書いてくれますが、群ようこが面白いのか周囲が面白いのか、それとも面白く書く才能があるのかは謎ですね。類は友を呼ぶ、この親にしてこの子あり、といった必然の人間関係なのかも知れません。
「おばさん」と言われる年代の群ようこ。この人の面白いところは「若々しくあろう」としたり「素敵なおばさん」を目指したりはしない事ですね。文を読んでいると「普通のおばさん」であることを誇っているようにも思えます。世間が「おばさん」というものに植え付けたイメージを笑い飛ばせるのはこういう人なのでしょうね。
10月14日
さて、教習所日記第9回です。
仮免も取ったのでついに路上です。
土曜日の10時、教習所内を一周し、裏口から外へ。
出たのはいいんですが、教習所の周囲はかなり道がせまいし入り組んでいます。道も斜めに交差しているところが多くて見にくい。まだミラーを見る事に慣れないので、躊躇いました。
車の操作そのものはだいたい思い通りに出来るようになっているのですが、教えられた通りにあちこち注目していると落ち着きません。
なんとか広い通りに出ると土曜日の午前で車通りも少ないのでけっこう快適。40キロというのは教習所の外だとけっこう遅く感じるものですが、そんなにアクセルを気にしなくていいので楽と言えば楽です。
指示通りに走っているとやがて家の近くまでやってきたのですが、自分の運転する車から見る近所というのはなかなか新鮮でした。帰りに、道路が工事中だったのが先生にもちょっと予想外だったようですが、特に問題なく終了。
次の日、日曜日も朝から路上。
土曜日とは逆方向へ向かいましたが、そちらへ行くと道は広く車は少ないという最高の環境。ほとんどの道路が40キロ制限だったので忘れていましたが、特に標識がないので60キロまで出せました。60になると体感速度がかなり速い。僕にとっては「高速」です。
そのまま地下鉄の鳩ヶ谷駅まで走りましたがまだ道路が完全に通っておらず、一車線で両側がガードという妙な道がずっと続いていたりします。そちらへ行ったのは初めてでしたが、ちょっとしたドライブ気分で楽しめました。
ちなみに土日ともキャンセル待ちは失敗。3連敗でした。
今週は2時間しか乗っていないのであと4時間路上。終わったら所内で駐車と車庫入れになります。
バックするのが苦手なのでそこで練習しないといけませんね。あと縦列駐車も大変そうです。
10月15日
書感です。
「すべてがFになる コミック版」
原作:森博嗣
作画:浅田寅ヲ
出版:ソニーマガジンズ
定価:620円
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森博嗣原作の「すべてがFになる」コミック化作品です。
小説のコミック化って基本的には好きじゃありません。メディアミックス展開などをするとその過程で原作の良さが損なわれてしまうことって多いですよね。しかし、この「すべてがFになる」は原作者の森博嗣も絶賛。これまでの経験から森博嗣の言葉に嘘はないと判断したので発売してすぐに探したのですが、入荷したお店では皆売り切れ。結局、セブンイレブンのオンライン書店「イーエスブックス」で購入しました。
14のときに殺人事件を起こしてから孤島にこもって生活している天才科学者、真賀田四季の研究所近くでゼミ合宿を行った大学助教授、犀川創平と学生の西之園萌絵は真賀田博士殺害という大事件に巻き込まれる……。
さて、コミックの場合何より先に来るのはまず絵ですよね。
この場合、原作があるわけですからなおさらです。
浅田寅ヲの描く犀川創平は鋭角的でくずれているようでありながらちょっとお洒落。西之園萌絵は逆にちょっと丸顔で幼い雰囲気です。どちらももちろん違和感があるのですが、読んでいるうちにこの浅田デザインの世界に惹かれていきます。
「すべてがFになる」はコンピューターがトリックとして使われ、なかなか絵では説明しにくいと思うのですが原作の内容を過不足なく折り込み、なおかつしっかりとした演出で読者を飽きさせません。一度、原作を知らない人に読ませてみようと思っています。
「すべてがFなる」を読んだのは98年の12月でもうずいぶん前の事なので、コミック化によってまた新鮮に読むことができました。こうなるとまた読み返したくなるんですよね。
と、いうことで価値ある一作です。
ファンの方はもちろん、森博嗣を読んでいない方もここから入門してみると良いかも知れません。
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