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11月01

 書感です。

「Papa told me 25巻」
 著者:榛野なな恵
 出版:ヤングユーコミックス
 定価:505円
 初版:2001年7月24日
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 賢く好奇心旺盛な知世ちゃんは大好きなお父さんと二人暮らしの父子家庭。小学生ながら自分なりの視点で「世間」というものを観察する毎日を暖かに描くコミックがこの「Papa told me」です。
 知世ちゃんの妙に大人びた視点が嫌だと感じる人も中にはいるかも知れませんが、自分は自分、他人は他人という意識をしっかりもった彼女は十分「大人」として通用します。それでいながら自分がまだまだ子供だとわかっているところがなおさら生意気なのかも知れませんね。
 25巻は珍しくファンタジックなテイストの作品がなく、現実のいろいろな問題に深く突っ込んだものが多いです。25巻ともなるとキャラクターもかなり増えていますが、準レギュラー陣もあまり登場しないのがちょっと残念。
 今回印象的だったのは道ばたで「捨て犬です、誰か拾ってください」という札を下げて座っている青年の話。「犬のふりをしている男の子、もしかしたら男の子のふりをしている犬なのかも」という知世ちゃんの発想はさすがですが、そんな捨て犬青年の世間を見放したような無邪気さで心が癒される人も存在するのです。
 前述したように童話の人物が出てきたり夢の世界を旅したりというファンタジックな話は今回ありませんが、ある意味童話と言える話ですね。
 自分の事をはっきり言える、それでいて自分の幸福をしっかり見つけられるというのはとても幸福な事です。それができる知世ちゃんは多くの人にとってあこがれの存在でしょう。
 自分の道を歩くのは決して世間に背くことではないのです。
 日常の中にあるちょっとした幸福。そういったものを探して生きていける、と思わせてくれる作品です。

11月02

 書感です。

「もつれっぱなし」
 著者:井上夢人
 出版:文春文庫
 定価:533円
 初版:2000年2月10日

 この井上夢人は初読の作家なのですが、ミステリ作家の岡嶋二人というコンビの一人だそうです。岡嶋二人はあちこちで名前を見かけるので読んでみようとは思っていたのですが、解散後の作品からとなったようです。
 さて、この「もつれっぱなし」は短編集なのですが、収録された作品には決まりがあります。まず、男女一人ずつしか登場人物がいない。会話文しかない。そして、必ず片方の言う事をもう一人が疑い、それを証明するという内容になるという3点です。星新一のショートショート作品集に「ノックの音で」というものがあって、タイトルの通り必ずノックから始まるという短編ばかりでしたが、それを思い出しました。
 こういった制約を自分に課して作家というのが割と好きなんです。たいていアイディアのある作家ですよね。わざと範囲を狭める事によって爆発力を高めるわけです。
 この井上夢人の場合、発想だけではありません。会話文だけという制約がありながら、二人の人間関係や話している環境などが容易に想像でき、なおかつ説明的ではないテンポの良い会話によって構成されていて、高度な技術を持っている事がよくわかります。
 真剣に自分の言うことを認めてもらおうとする側と、それをあまり相手にしないで聞いているのに段々と真面目に反論しだしてしまうもう一人、という展開は毎回同じなのに、二人の性格設定や議論のテーマなどが変わることによって毎回違った楽しみが味わえるのが良いです。
 ちなみにそれぞれのタイトルは「宇宙人の証明」「幽霊の証明」「呪いの証明」などとなっていて、超自然的な存在が実在すると強く主張する作品が主ですが、最後にどんな結末が来るかドキドキさせられます。
 この井上夢人と、コンビで活動していた頃の岡嶋二人、どちらもなかなか面白そうです。これは読んでみなければ。

11月03

 書感です。

「江戸切絵図散歩」
 著者:池波正太郎
 出版:新潮文庫
 定価:509円
 初版:1993年12月
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 池波正太郎のエッセイです。
 著者が時代小説を執筆する際に使っている江戸の切絵図をカラー写真で紹介し、それについてコメントするという形式で文庫本ですがなかなか豪華。切絵図もすっきりとまとまっていながら建物などがしっかり書き込まれていたりして、作られた当時にどれだけ高価なものだったのかが伺い知れます。
「鬼平犯科帳」や「剣客商売」など江戸の街を舞台にした池波小説に登場する街並みは非常にリアルで、読んでいるとまるで絵に浮かぶようなのですが、こういった資料があるからこそ書けるのでしょうね。
 さて、池波正太郎自身も東京の下町出身で、現在とはまるで違う東京の顔を知っている人です。本所深川や内藤新宿、八丁堀などは資料として地図の上で知っているだけでなく、池波正太郎自身も自分の足で歩き、目で見た土地なんですね。ですが、幼少の頃には残っていたという江戸の面影も段々と失われ、ただ便利に都会的になっていく事に対する、怒りもだいぶ見られます。
 池波正太郎の時代劇はエンターテインメント性が強く、楽しんで読めるうえに深い味わいがある傑作が数多いですが、このエッセイを読んで考えると、それだけではなく描かれた江戸の街やそこに住む人々の様子には今の人間にないおおらかな豊かさがあるように思えます。
 鬼平が江戸の街を守ったように、池波正太郎も古き良き東京の街を守りたかったのかも知れません。
 あとがきによると、この本は池波正太郎の晩年に書かれたもので、その当時にはもう鬼平も剣客商売も休載していたとの事です。自分の描いてきた江戸、そして愛する東京の街を、小説を通してだけではなく。多くの人に伝えたかったのかも知れませんね。

11月04

 教習所日記、第12回です。
 今回は所内の第3回目で、急制動、急カーブと車庫入れをやりました。急発進急停車は第一段階でもありましたが、今回の急制動はそれよりかなり激しいです。まずは先生がお手本を見せるわけですが、時速20キロからのフルブレーキでこれほど衝撃がくるとは、という感じでした。30キロだとカーブでも横にGがかかり、ブレーキ時にもかなりのショックが。当たり前ですがそんな急ブレーキは踏みたくないものです。交代して自分でやってみると、ハンドルを持っているのと自分自身がかけるためにタイミングがわかるのとで、大したことはなかったため、少々拍子抜けしましたが、逆に助手席や後部座席の人の事を考えて運転しなければと実感しました。
 その後は、車内に緑と赤のランプを設置して緑のランプがついたら左から、赤のランプがついたら右から人が来たという設定で急ハンドルによる回避の体験。これはまあ、普通にできましたが、時速20キロ程度なのでもうちょっとスピードが出ていたらダメですね。危険予測は大切です。
 と、いうところで次の日はシミュレーターによる危険体験。
 けっこう大きなものを使ってシミュレーター上の街を運転するわけですが、危険そのものより車の挙動のいい加減さとちゃちな画面に苦戦してしまいました。GTシリーズとかかなりリアルなゲームが出ている現在でこれはどうか、という感じ。
 危険な場面を体験するという主旨なのであざやかに避ける必要はないそうですから仕方ないでですね。ちなみに右折時にバイクとぶつかりました。わかっていたのですがアクセルが敏感でちょっと踏んだだけで飛び出してしまったのです。実際はやらないように気をつけなければ。
 シミュレーターの後は危険予測のセット教習。3人がそれぞれ路上を運転して評価をし合うという2時間の特別教習です。
 久々の路上だったのですが、意外と爽快に走れました。きちんと加速して減速時にはしっかり減速。自分でもうまくできたと思っていたら案の定、評価はかなり良かったです。あとの2人も運転はうまくて、先生がいまいち面白くないとおっしゃったくらい。年齢とかばらばらだとディスカッションもいろんな意見が出るようですね。
 さて、次回は自主経路設定と高速で合計3時間。さらに路上2時間の予約があります。早ければ11月末には免許が取れる予定です。

11月05

 11月7日まで幕張メッセで開催されている第35回東京モーターショーへ行ってきました。前々から興味はあったものの、行くのは初めて。
 幕張へ行く途中、もう東京駅あたりから明らかにモーターショーへ行くという感じの人が多く、かなり混雑の予感がしていましたがまさにその通り。しかし、それでも十分楽しむ事ができました。
 まず入り口あたりの2輪車コーナーから入ったら最初にあったのはホンダブース。あまり興味ないと思っていた2輪ですが、ホンダは車に搭載する折り畳み式の電動コミューターや全天候型でルーフが折り畳める大型スクーターなど素人目にも面白いものをいろいろ出しており、他の会社とは一線を画した感じでした。他社のバイクなどもいろいろ見ましたが、かっこいいと思うようなものはかなり高価。ある程度以上になると完全に趣味の乗り物ですね。自分で乗ることはなさそうです。
 さて、4輪コーナーは中央から入るとそこはポルシェやヒュンダイなどの外車ブース。やはりポルシェはかっこいいです。
 ほとんどモデルが変わらないのがすごいですね。ヒュンダイは一昔前の日本車というイメージで、かなり安くならない限り日本では売れなさそう。ランボルギーニの車はかなり久々に見ました。カウンタックのイメージが強かったのですが、今でも割とそのままですね。アウディ、シトロエンと続いて東ホールへ入るとロールス・ロイスがあったのですがあまり印象に残っていません。次にフォルクスワーゲンのブースがありましたが、さすがドイツ車という感じで、細部の造りがしっかりしています。シトロエンなどは見えない部分が雑という印象があってあまり買いたくない車だと思いました。反面、フォルクスワーゲンは高価なものが多いドイツ車の中でも価格帯が低く、製品としての質が高いですね。と、いう感じで最近はなんとなく「買い」かどうかを見てしまいます(笑)
 プジョーは素通りして、光岡自動車はかなりの人だかり。
 日本車ですが特異なデザインの多く、普段見ることのない光岡はモーターショーで映えますね。昔のロールスロイスのような「我流(Galue)」や蛇をイメージした「大蛇(Orochi)」など印象深いです。実はそんなに高価ではないと知って驚き、エンジンなどはどこから供給されているのかちょっと気になりました。
 スバルのブースではフロントグリル、ミラー、座席まで何故かすべて三角形になっているWX-01というワゴンが展示されていましたがちょっと小手先という印象。しかし、かつての名車スバル360をイメージしたという軽自動車HM-01は良さそうな感じでした。その隣はGMとSAAB。GMは素通りで、SAABはちらっと覗いたら、格納性の高いワゴンがありました。さすが飛行機メーカーという感じのギミックでしたが、技術的には何も難しくないので逆に何故今までの車にはついていないのかという感じ。トランク部分を後ろに引き出せる事と、車内にしっかり荷物を固定できるというものです。
 イスズの参考出展はやけに未来的なデザインで、装甲車みたい。他には後ろが透明なトラックなどあって目立っていました。スズキは素通りするつもりなかったのですが、気が付いたら通り過ぎていて見ていません。
 そして順路通りに中央ホールに戻ると本命のホンダブース。
 ホンダとトヨタは長くなるので明日、改めて書きます。
 ニッサンブースはどうもガソリンスタンドのイメージ。
 展示の中心はフェアレディZとGT−Rコンセプト。伝統の2車種ですが、従来とはまったく違うデザインです。銀色のボディは未来をイメージしたのでしょう。SF映画に出てきそうです。他にもやけにスマートなピックアップトラックNailsなど見所はあったのですが、最後の方だったので疲労であまりしっかり見ていません。
 マツダはロータリーエンジン搭載のRX-8ですが、エンジンの展示がなくて残念。レシプロと燃費が変わらないという話を聞きましたがそれについての解説は特になし。参考出品でシークレット ハイドアウトというやけにかわいい軽自動車がありましたがこれが不思議で、シフトレバーが見つかりませんでした。運転席横にボタンのようなものがついていたのでそれかと思うのですが、答えは不明。気になります。
 さて、けっこう長く書いてきましたが、とにかく一日中歩きっぱなしだったのでけっこう疲れました。全体的に言えるのは日本車はIT機能搭載というものが多く、これからの展開がいろいろありそう。今後、携帯電話などと連動したりするのかも知れません。あとは室内が本当に真っ平らで椅子が置いてあるだけという車、多かったです。車として必要な部分はもう本当に小さなスペースに収まってしまうようですね。運転席、助手席、後部座席という構成はだんだんなくなっていくかも知れません。
 さて、長くなったので残りは明日、ホンダ・トヨタの特集とします。

11月06

 さて、昨日の続きで東京モーターショーの話題です。
 国内外のメーカーの中でトヨタとホンダのブースは人の数も内容も群を抜いているといました。

 まず、ホンダから。
 市販車で新しいのはシビック、インテグラのタイプRとNSX-Rという新モデル。すでに市販されているシビックやフィットなども展示されていました。フィットは大人気で生産が追いつかないため、契約しても納車にはかなりかかるそうです。最近のホンダ車はシビックベースが多いですね。シビックは好きなので、あとは用途に合わせて好きなものを選べます。
 さて、やはり今回のホンダブースで一番注目されていたのはコンセプトカーの数々。
 まずは、次世代スポーツカー、デュアルノート。米のテレビシリーズに出てきたSFカー「ナイト2000」やバットマンの愛車「バットモービル」を彷彿とさせるような流線型デザインの車体で、運転席には歩行者を注目表示するナイトビジョンやカーナビを搭載。音声操作の端末で様々な情報を引き出したり、受け取ったメールを読み上げてくれたりとまさに夢のような車です。コックピット部分だけが別に展示されていましたが一昔前の漫画に出てくる宇宙船のようです。まあ、ここまで行くとさすがに非現実的ですがこういったものを形にしてくれるというのは嬉しいですね。
 そして、次世代乗用車のブルドッグ。凹凸の少ない銀色のボディーがどこかユーモラスな「サーチスポーツ・エンジン」だそうです。情報を追いながら気ままに街を探索。ネットサーフィンするような感覚でドライブ……ということですが具体的にはちょっと不明(笑)
 ちなみに2輪ブースにあった折り畳み式電動コミューターを搭載しています。
 そして、最も特異なのはユニボックス。
 なんと大部分が透明という車体になっています。フレームにパネルを貼るだけなので透明だけでなく好きな色やデザインにコーディネイトできるとか。さらに、レーダーやカメラが随所に装備され、自動的に車間距離を保ったり後方の景色を表示したりします。また、ハンドルとブレーキ、アクセルなどがなく、一本のコントロールユニットだけで制御するという仕組。
 スピードメータなどはフロントガラスに表示されます。
 この車も電動コミューター搭載。また、後部はただ平らな床になっていて運転席以外はどうとでも使えます。
 こういう車が街を走るという日が、いつかは来るのでしょうね。

 さて、次はトヨタブースです。
 車を持ち上げたりコンパニオンが宙づりになって解説したりしたホンダブースと比べるとかなりおとなしい作りです。
 ニュースなどでも話題となっていたのはSONYと共同開発の感情を持った車「pod」
 車自らがドライバーに対して反応したり様々な情報を読みとって行動するという夢の車です。ちょうどAIBOの車版のようなものでしょうか。単にエンターテインメントというのではなく、路面状況によってサスペンションを調整したりと十分に実用的です。また、車を離れたときはpodの分身となるミニポッ土を持ち歩く事によって様々な情報を車に伝える事ができます。家電を独立させず、コンピュータによって集中管理するというSONYの思想をそのまま受け継いでいますね。
 さて、こちらは夢の車として、今度発売となる「Will VC」は各社のコンセプトカーなどに搭載されていたネットワーク系の機能を実装して新しい車です。人気の高かった「Will VS」の後継車となるこのVCはG-Bookというシステムを搭載しており、ナビゲーションを始めとする様々な情報を引き出したりカラオケなどのエンターテインメントを楽しむ事ができます。
 すでにカーナビなどは必須となってきている最近、車にも様々な機能が付加されていますね。ただ、やっぱりこういうのはソフト的なものなので共通の企画を作ってどんな車にも後付けできるようにして欲しいところですね。

 と、いうわけで2社のブース紹介でした。
 どうもソフト的なものに記事を割かれてしまいましたが、もちろん車そのものもかなり見応えがありました。
 車そのものはとにかく省エネ化、そして車内スペースの拡大という方向に進んでいるようですね。これだけの車を見られるのってモーターショーくらいでしょう。
 さて、来年もまたびっくりするような車が出てくるのかどうか楽しみです。

11月07

 書感です。

「試験に出るパズル」
 著者:高田崇史
 出版:講談社ノベルズ
 定価:880円
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「QED」の高田崇史が書くミステリ小説……なのですが、タイトルの通りどちらかと言えば「パズル小説」なのかも知れません。僕自身、パズルはかなり好きで「頭の体操」あたりは中学の頃にはまったし初期の「マジカル頭脳パワー」などにも熱中したものです。
 さて、ここで探偵役となるのは高校生、千葉千波。埼玉県所沢市に住む大地主の息子ですらりとした体型の美少年。さらりとした髪の毛をぱさりとかきあげる仕草はなんとも魅力的……という彼について語る主人公はその平凡な従兄です。
 浪人の主人公と現役高校生の千波くん。ことあるごとに受験科目に難癖を付けて自分がさぼる理由を延々と語る主人公ですが、この千波くんにはまったくかないません。その2人に主人公の友人、慎之介を加えた3人がレギュラーとなります。
 家族が警察関係者という慎之介が事件の話を持ち込んだり、旅行先でちょっとした事件が起こったりするのですが最後は必ずパズル。いえ、正しくはどんなものでも千波くんがパズル的に解こうとするわけです。このパズルというのが、簡単に解けるようなものではなく作中の表現を借りれば「レポート用紙3枚が必要」というものばかり。手の込んだ設定を作ってはパズルに持ち込む作者のパズルに対する愛情が伺えます。
 なんでもかんでもパズルで解決する……となるとちょっと疑問が生じないでもないですがそこはそれ。パズルが解けたからと言って事件が解決するとは限らないのがご愛敬です。
 レギュラーメンバーのうち、最も面白いのは意外にも氏名不詳の主人公です。自分の名前を「語りたくない」と自己紹介し、あだ名は「ぴいくん」となかなか謎が多いのですが、彼の理屈っぽいのにどこか純粋さを感じさせる語りが天才高校生という千波くんのイヤミな設定をうち消しています。
 突飛な事を言っては千波くんにバカにされる主人公なのですが、実は台詞にしない独白の部分だけで鋭い考察を見せていたりと他の作中人物が知らないような点を読者だけは知っているわけです。
 ちなみに、物語と関係のないパズルも多数出題されていて巻末にはきちんと解答があり、それだけでも本気でやれば当分は楽しめるでしょう。
 物語は1ヶ月に1つとなっていて、4月から始まり8月で終わっています。これは続編に期待です。「ぴいくん」の謎も知りたいですね。なかなかおすすめの傑作でした。

11月08

 書感です。

「わかもとの知恵」
 著者:筒井康隆
 出版:金の星社
 定価:900円
 初版:2001年8月
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 妙なタイトルですが、これは著者が子供のころにわかもと製薬の「錠剤わかもと」についていた「重宝秘訣本」という付録を元に、現代向けに編集・執筆したものだそうです。「重宝秘訣本」というのはいわゆる雑学本で、暮らしの中で役に立つような知恵がいろいろあったとか。現代にも「伊東家の食卓」のような番組があり、ためしたくなるような知識を得たりしますよね。こういった本の一番の長所は、知識を自分で試せるという事ではないかと思います。
 編著にあたって著者は「驚きがある知恵」「なるほどと思う知恵」「子供に役立つ知恵」の3つを心がけたということで、内容も子供向けの丁寧な口調になっていますが、中身は誰が読んでも楽しめます。しかし、他の筒井作品のナンセンスさやブラックユーモアを知っていると、こういった口調そのものが冗談に見えてしまいますね。
 ちなみに内容はと言えば「ハチに刺されそうなときの知恵」や「あくびが出そうなときの知恵」などの健康編。「溶けにくい氷を作るには」「カレーをこぼさずによそう知恵」の食事編など、内容別に4ジャンル。イラストを書いているきたやまようこと筒井康隆のほのぼのとした対談の他に、それぞれの項目について「おためし隊」のおためしレポートなどが載っています。きたやまようこのユーモアあるかわいいイラストも見ていて飽きないし、役に立ったり下らなかったりする「知恵」の内容を読んで行くのも実に楽しいです。
 こういった本を執筆する筒井康隆というのは僕にとって新しい発見。奥の深い作家です。
 本を読む目的の一つに知識を得ること、というのがありますね。世の中にはそれを目的とした雑学系の本もたくさんありますが、この「わかもとの知恵」のように細部まで行き届いた凝った作りのものはなかなかないでしょう。
 是非、お試しください。

11月09

 書感です。

「マッチ箱の人生」
 著者:阿刀田高
 出版:講談社文庫
 定価:447円
 初版:昭和59年10月15日
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 阿刀田高のブラックユーモア小説集です。
 この人の小説は何が怖いかって言うと、怖がらせようと思って書いていない感じがする事ですね。文章は非常に平易で読んでいるとそのまま普通の短編小説として終わってしまいそうな印象すら受けます。しかし、だんだんとその中に感じる違和感が増大し、やがて背中が寒くなるような結末を迎えます。
 どこで異次元の世界に踏み込んでしまったのかわからない、そんな怖さです。
 もっとも、ただ怖いだけではなくて不気味だ、と思っていると最後にほっとするような結末が来たり、ほっとしたりという事もできます。まあ、息抜きがあるから怖い作品は余計に怖いのかも知れませんけどね。
 人には様々な願望がありますね。もっと幸せになりたいとか、失敗したくないとか。また、あのときこうなっていればと「もしも」を考える事もあります。そういうものがエネルギーとなって人は行動できます。しかし、短絡的に目の前に見える幸福をつかみ取ろうとしたり、人の幸福を奪おうなどと考えると思わぬ落とし穴があったり、自分の考えが幻想であったりする事を悟ります。もちろん、阿刀田高の世界はそんな生やさしくはありません。逆に小狡く立ち回った主人公ががうまく事を運んでしまったりするとそれはそれで世の中の皮肉を感じたりしますし、小心な行動を積み重ねた結果とんでもない暴挙に出る主人公を見てはそういう人って本当にいそうだとぞっとしたりもします。
 ブラックユーモアというと、けっこうベタベタなものしか思い浮かばなかったものですが、阿刀田高を読むようになってからはこのそっと忍び寄ってくる恐ろしさにはまっています。

11月10

 書感です。

『ロードス島戦記 ファリスの聖女 I・II』
 原作:水野良
 作画:山田章博
 出版:角川ニュータイプ100%コミックス
 定価:1100円

 ずいぶんと懐かしいタイトルです。国産ファンタジー小説「ロードス島戦記」のコミック化作品なのですが、なんと作画は十二国記など様々なイラストを繊細なタッチで描くあの山田章博。水野良を元に山田章博オリジナルのストーリーで繰り広げられるこの作品の完成度は原作以上と言えるかも知れません。

「呪われた島」と呼ばれるロードス島。野望に燃えた小国の君主が封印を解いた魔神はまたたくまに島全土を恐怖に陥れた。
 人と人、種族と種族が小競り合いを続ける現場に業を煮やした至高神ファリスの司祭、フラウスは少女でありながら孤独に魔神と戦う日々を送っていた。その姿に心を打たれ、一人、また一人と集まる英雄達はやがて魔神の本拠地「最も深き迷宮」に挑む……。

 水野良の「ロードス島戦記」の世界より30年前。原作ではすでに英雄伝説として語り継がれる「魔神戦争」のエピソードを描いたのがこの「ファリスの聖女」
 神と悪魔、妖精や精霊と言った神話とおとぎ話の存在がひしめくこの世界では山田章博の芸術的とも言える絵が存分に力を発揮します。これはもうコミックのクオリティではないと思えるほどで、それだけに連載などもかなり長期に渡っていたような気がします。
 確かこの本は一度出版されながらも完結編が発売されず、今回新装版として出ているはず。僕も前にI巻を持っていたのですがその結末を読まないまますでに数年が経過していました。
 さて、原作の読者は「もっとも深き迷宮」に挑んで生き残った英雄の数が6人である事を知っています。しかし、この「ファリスの聖女」で物語の中心に登場する英雄たちの数は7人。原作読者は最初から、この英雄物語が悲劇に終わるという事を知っており、それだけに帰ることのない1人の清冽な生き様が印象に残ります。
 原作との比較を書いてきましたが、コミックの本質は絵と物語の融合。山田章博はイラストレイターとしてだけではなく、漫画家としても優れた実力を持っている事は一目瞭然です。
 水野良の原作を知らない方も山田章博の描くファンタジックで壮大なストーリーを十分に楽しむことができると保証できます。

11月12

 教習所日記、第13回です。
 教習もだんだんと最後に近づいてきました。
 今回は高速教習と自主経路設定で計5時間です。

 前日から雨が降っており、雨が強いと高速教習はシミュレータになってしまうという事で心配していたのですが当日は雨天ながらも小降りだったので実施。
 高速教習は3人一組でそれぞれが決められたところまで走るというもの。僕は複数教習だといつもトップバッターになってしまうのですが、今回も一番手。学校を出て高速に入り、東北自動車道を蓮田までいくというコースでした。
 一般道はもうかなり慣れました。と、いうことで特に特筆するような事はないですね。高速の入り口までは先生の指示通りです。首都高速川口インターから高速に上がり、一気に時速80キロまで加速。これまでの最高速度60キロから一気に20キロ上がったわけですが、感覚的にはほとんど変わりませんね。むしろ一般道の60キロより高速の80キロの方が楽に走れます。ただ、高速だとまっすぐはしっていても路面の凹凸を拾うためか微妙に左右に振られる感じがします。
 首都高速から東北自動車道へ入ってしばらくは舗装が良いらしくて雨の影響もほとんどありませんが、蓮田が近づいて来るとところどころ雨水が溜まっているところがありました。舗装の差はかなり大きいですね。
 練習という事で一度だけ右の車線に入って前方のバスに追い抜きをかけました。なかなか爽快ですね。高速教習に使う車は決まっているのか、これまで乗った教習車の中でもかなり加速が良かったようです。
 蓮田のサービスエリアで次の人と交代し、後部座席に乗ったのですがこのときの方が緊張しました。けっこう大きく蛇行して走っているし、加速減速もけっこう急です。自分の運転も人から見たらこう……というのでなければ良いなと思いましたが一応大丈夫かな。
 2人目の人は蓮田の先の加須で降り、反対側から乗って再び蓮田まで戻ってきました。そこで20分の休憩となったのですが財布をトランクに入れたままだったのでただぶらぶらしていただけです。ETCの展示がありましたが、これはなかなか普及しそうもないですね。カーナビなどとセットにしてしまうか、日常的に高速を使う業務用の車には取り付け義務づけくらいにしないと、ごくたまにしか利用しない高速道路のために数万で機械を購入する人はほとんどいなさそうです。
 その後、高速教習は無事に終了。ちょっと遠出して楽しかったです。免許を取ったらこのくらいのドライブはしたいものですね。

 次の日は自主経路設定を2時間。地図を見ながら自分でルートを決めて走るというもの。言われた通りに走る方がずっと楽だというのはよくわかりました。道を間違える事はありませんでしたがそれに気を取られるといろいろ注意を忘れそうになってしまいます。間違えてもいいや、くらいに思っていた方が良さそうですね。
 と、いうところで残すは自主経路1時間と卒検のみきわめのみとなりました。あと2時間ですね。
 今月中にはこの教習所日記も終了しそうです。

11月13

 書感です。

「七つの迷路 井沢元彦ミステリーワールド」
 著者:井沢元彦
 出版:廣済堂文庫(絶版)
 定価:534円
 初版:1995年2月

 ミステリ作家、井沢元彦の描く様々な探偵が登場する7つの短編を集めたのがこの「七つの迷路」
 さて、世の中には様々な個性を持った探偵が登場しますが、この七つの迷路にはかなり変わり種の探偵が登場します。
 一人目は織田信長。
 戦国時代を舞台にした「裁かれたアドニス」では信長に贈られたアドニス像の周囲で起きる殺人事件を解決する卓越した信長の推理力を描いた短編。戦国の盟主として君臨するため、様々な力関係を含んだ思考が書き込まれています。
 もう一人は宮本武蔵。
 長年諸国を渡り歩き、最強と謡われる武蔵の剣の極意は「見切り」です。相手の思考を読み技量を測って戦う武蔵はまさに無敵。その深い洞察力を事件解決のために活躍。
 また「谷津少佐の死」では芥川龍之介が探偵となって怪死事件を解決します。
 井沢元彦はかなり歴史指向があるらしく、香道の世界を舞台に正倉院に秘蔵される蘭奢待という幻の香を巡った事件や、本能寺の変で徳川家康が取った行動の謎に著者を投影した「謎の先生」が迫る短編などもあり、なかなか面白いです。
 歴史上に名前が残るような人物ってやはりこの小説のように優れた洞察力の持ち主だったかも知れません。
 ところでこの本、もう絶版らしいです。
 そもそも廣済堂文庫ってあまり見たことないですよね。
 ついでに調べてみたところ、この人は「逆説の日本史」など一般的に広まっている日本史の知識に対して疑問点を書いたりしています。ちょっとそっちに歴史ものに興味があります。

11月14

 書感です。

「20世紀少年 7巻 -真実-」
 作者:浦沢直樹
 出版:小学館ビッグコミックス
 定価:505円
 初版:2001年12月1日
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「20世紀少年」が第二部に突入したときはがっくりときたものですが、現在の展開を見ているとこれはとても第一部だけで終わる話ではなかったようです。さすがは浦沢直樹。

 海ほたるの刑務所から脱走したオッチョと漫画家、角田。
 オッチョは一般にほとんど知られていない15年前の「血の大みそか」事件を語り出す。果たして「世界の危機」に挑んだケンヂたちには何が起きたのか……?

 1巻の冒頭、21世紀のはじまりに「彼らがいなければ世界は滅びていた」と紹介された影。「20世紀少年」は大人になってかつての夢を失ったケンヂたちが夢と友情を取り戻して世界を救う……という話の浦沢直樹風ドタバタ劇だと思っていたのですが、そんな生やさしい予想はまったく外れ。
 世界の危機を救った「ともだち」と友民党が作った新しい日本では思想が統制され、漫画家の角田は好きな漫画を描いただけで投獄。ケンヂの姪、カンナがアルバイトをしている新宿はスラムと化し、日夜海外マフィアの抗争による銃撃戦が行われています。
 20世紀最後の英雄となれなかったケンヂと仲間達の過去が語られた今回、やっと「血の大みそか」の片鱗が見えてはきましたが、肝心なところで7巻は終わってしまうのでまだまだ謎は残されたまま。ケンヂはすでに死んでいる……という描かれ方をしていますが読者としてはそれを鵜呑みにできませんね。
 ただ逆に、ケンヂが生きていた……という展開だとあからさまに盛り上がるので一筋縄ではいかない浦沢直樹はもっと考えられないような話を用意しているかも。
 いずれにせよ、期待は膨らみます。
 巻が進む事に面白くなっていくこの「20世紀少年」はこれからも目が離せません。続きが待ち遠しいです。

11月15

 書感です。

「どんどん橋、落ちた」
 著者:綾辻行人
 出版:講談社ノベルズ
 定価:820円
 初版:2001年11月5日
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 帯に「綾辻行人が読者に挑戦する究極のフーダニット!」と書かれたこの本。綾辻行人と言えばやはり館シリーズというイメージの強い僕としては「眼球奇譚」や「殺人鬼」などより真本格と言われるミステリを書いて欲しいものです。
 と、いうわけでかなり期待して買ったこの本なのですが、結果から言えば大当たり。しかし「館」シリーズのような魅力とはちょっと違います。
 綾辻トリックというのはそれまでにあったいかなるトリックのとも違う全くのオリジナル。「綾辻の前に綾辻なし」と言われる由縁ですが、それがさらに極まった作品がこの短編集に収められていると言えます。
 主人公である語り手の綾辻行人が訪ねてきた青年の書いたミステリの犯人当てをするという表題作「どんどん橋、落ちた」と「ぼうぼう森、燃えた」はどちらもまさに「綾辻ミステリ」
 それがどんなものか、一言で表現するのは簡単ですが、どうしても読んでわかって欲しいですね。「驚愕」を通り越して「呆然」としてしまう綾辻ミステリの騙しのテクニックはかなり単純なものかも知れませんが、単純なテクニックほど極まると強力になるという事です。
 また、綾辻行人がテレビの短編ミステリ用に書き下ろしたシナリオを小説化した「意外な犯人」も最後に収録されていますが、映像化不可能と思われる作品を次々と送り出した綾辻行人ですが今度は活字化不可能と思われる作品をテレビ用に書いていたようです。それがどうして短編集に収録されているかは読んでのお楽しみですね。
 今回の短編集はみな、主人公が「綾辻行人」自身です。有栖川有栖の学生「有栖川有栖」や作家「有栖川有栖」とはまた違う、作者の分身そのものである綾辻行人がまた楽しくて、好き勝手に書いているという感じがあります。
「伊園家の崩壊」というちょっと趣味の悪いブラックユーモア的パロディも含んだ短編はどれも綾辻ファンを大喜びさせることは間違いありません。
 ただ、ここから綾辻に入るのはお勧めしません。
 そういう方は是非「十角館の殺人」をどうぞ!


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