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12月02

 書感です。

「からくりサーカス 20巻」
 作者:藤田和日朗
 出版:小学館少年サンデーコミックス
 定価:390円
 初版:2001年12月15日
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「からくり編」と「サーカス編」に別れて展開してきたこの『からくりサーカス』ですが、ここ数巻はずっと「からくり編」が続いています。そろそろクライマックスかというテンションの上がり方でしたが、まだそれは天井知らず。

 ついに「真夜中のサーカス」最深部まで乗り込んだナルミたち「しろがね」はそこで自動人形最強の「最古の四人」と戦闘を開始する。その圧倒的な力と多すぎる自動人形に苦戦する火彼らだったが、ついに「しろがね」のリーダー、ルシールが到着、最後の切り札を使う時が……。

 やせ細った老婆、ルシールは「しろがね」最古の存在。冷酷で皮肉屋の彼女は、失った息子のために復習の憎悪を燃やし自動人形達を追っていました。そんな中に時々、人間性をのぞかせてはナルミの成長を喜んでいた彼女でしたが、この巻で「最古の四人」を前に再び冷酷な老婆に戻り、本領を発揮。

 誰よりも自動人形たちの事をよく知るルシールだけができる「最古の四人」破壊を試みます。
 憎しみだけで200年を生きたというルシールはまた、ナルミのように優しさと怒りを原動力に生きる人間を認め、彼らに未来を託す事になるのです。

 一方、もはや助からない程の重症を負ったナルミに未来は本当にあるのかが気になるところ。
 さて、一方のサーカス編は今回も出番なし。2つに別れた主人公達が最後には合流し、自動人形たちと戦うという展開を予想していたのですがどうやらそれはなさそうです。

 自動人形との戦いはこの物語の最終結末ではないようで、先がどうなるのかまったく予想がつきません。
『うしおととら』のときもそうでしたが藤田和広は行き当たりばったりに描いているようでいて巧妙に伏線などを巡らせるタイプ。先に何か考えているのだと期待しています。

12月03

 書感です。

「ハンニバル 上」
 著者:トマス・ハリス
 訳者:高見浩
 出版:新潮文庫
 定価:705円
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 最も危険な犯罪者、ハンニバル・レクター。天才的な頭脳は医学博士としてだけではなく、考古学や音楽の分野でも才能を発揮し、芸術や食を楽しみ、そしてなんのためらいもなく人を殺し、時にはその肉を喰らう。

 この物語の魅力はなんといってもこのレクター博士の魅力にあります。間違いなく恐ろしく、そして受け入れる事のできない人物であるにも関わらず、読者は彼の行動と頭脳の中に展開する独特の世界に魅了されるでしょう。

『羊たちの沈黙』で収容された刑務所から逃亡したレクター博士はイタリアで優雅な生活を送っていた。しかし、レクターによって顔面を奪われ、半身不随にされた被害者メイスンが賞金をかけて彼の行方を追う。復習の念に駆られたメイスンの手がレクターの周囲に迫る。
 一方、かつてレクターの協力を得て殺人鬼を逮捕したFBI捜査官クラリス・スターリングは、捜査中の銃撃戦で5人を射殺した事により、窮地に立たされていた……。

 レクター博士に奇妙な尊敬を抱くクラリスと、その彼女を心の中で芸術の対象とするレクター博士。二人の交流は前作『羊たちの沈黙』ではごくわずかしか描かれていませんでした。
 しかし、今回の作品を読むと前作はこの「ハンニバル」のために書かれた序章にすぎないのではないかという気がします。
『羊たちの沈黙』も『ハンニバル』も映画化され、僕はどちらも見ていないのですが、この『ハンニバル』ですばらしいと思うのがレクター博士の内面世界。これを映像的に表現できるのかどうかが疑問です。

 常人離れした記憶力を持つレクター博士はあらゆる絵画、彫刻、音楽などをぞの頭脳の中に記録しています。そして好きなときにそれを頭の中で再生し、鑑賞するのです。犯罪的な行動の最中でさえ、彼の頭の中にはクラシックが流れ、クラリスは頭の中の様々な芸術と比較されたりもしています。

 レクター博士を研究しようとしたあらゆる精神科医がレクター博士自身の手によって論破される中、クラリスだけは博士から好感を以て迎えられていますが、その彼女でさえ読者のようにレクター博士の頭脳をのぞく事はできません。

 さて、窮地に陥ったクラリスにレクター博士は手を差し伸べようとしています。それを利用しようとするメイスンとFBIのクレンドラーとレクター博士の対決、そして翻弄されるクラリス・スターリング。二人の運命がどう交錯するのか、下巻が楽しみです。

12月04

 書感です。

「ハンニバル 下」
 著者:トマス・ハリス
 訳者:高見浩
 出版:新潮文庫
 定価:705円
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 世の中に「衝撃の結末」と謡われる作品は数多くあるに違いありませんが、このハンニバルほど凄まじい終結を迎えた作品はなかなかないのでは、と思います。
 前作「羊たちの沈黙」も傑作と言われましたが、このハンニバルという作品を前にすればそれもプロローグに過ぎません。
 レクター博士という大きな器に比べればFBI捜査官クラリス・スターリングの力量が足りない、とずっと思っていましたが、やはりそれだけでは終わらないようですね。

 イタリアで復讐鬼の手を逃れたレクター博士は合衆国へと帰還する。様々な芸術と共にただ一人、密かに愛でるFBI捜査官クラリスの側で暮らすレクター博士の元にまたもやメイスンの手が迫る。レクター博士の危機に職を追われたクラリスが立ち上がる。そして二人の運命は……?

 何もかもが恐ろしいまでに洗練されたレクター博士。今回はその内面世界の描写が多く、レクター博士の幼少時代の事にまで触れられます。おぼろげながらも「人食いレクター」となった理由が想像できます。完璧なまでの優雅さに加え、様々な意味で人間性が付加されたレクター博士に読者は間違いなく魅了されるでしょう。
 復讐に燃えるメイスンの手によって、レクター博士が危機に陥ったとき、クラリスと共に博士の無事を強く願ったものです。レクター博士自体が一つの芸術なのだとすれば、それがメイスンのような低級の怪物にとって壊されるのだけは我慢できないというところでしょうか。
 そういう心境にまではまれるからこそ、この「ハンニバル」の結末は凄まじいながらも納得できるものとなっています。
 言葉で説明してしまうのは簡単で、この原作の結末を嫌がった「羊たちの沈黙」主演のジョディ・フォスターが「ハンニバル」では役を降りてしまっています。おそらくクラリスに感情移入するか、レクターに肩入れするかでエンディングに対する感想は大きく変わると思われます。
 これ以上は読んで確かめてくださいとしか言えませんが、読む価値は十分です。米国初のサイコスリラーは山のようにありますが、これは最高傑作だと言っても間違いではない作品ですからね。

12月05

 本日、埼玉県の免許センターで本免の試験を受けてきました。結果から言ってしまいますが、合格しました。
 受付時間が朝の8時45分から9時半。自動車学校の卒業式で受付順に免許が出ると聞いたので早めに行こうと思い、7時に家を出て鴻巣へ。8時10分頃に鴻巣駅に着き、バスに乗ろうとしたのですが、駅前で免許対策をやっている教室が盛んに宣伝をしていました。なかなかすごかったのですが、受ける人っているんでしょうか?

 免許センターへはバスで10分ほど。元々は大宮にあったらしいのですが移転して鴻巣に来たらしく、建物は新しくて立派でした。収入印紙を買って申込用紙に貼り、受付を済ませてそのまま受験会場へ行って時間ぎりぎりまで一応、復習。練習問題などでいつも95点くらいは取っているのですが、いつもどこか間違えてしまうので本番の目標は100点です。ちなみに早く行っただけあって受験番号は12番でした。
 実際、試験を受けてみるとほとんどが見たことのある問題でした。95問のうち、これまでに見たことのないパターンの問題は1問だけでした。これは100点いけるかなと思いながらも一応制限時間10分前まで見直しをして提出しました。
 暇つぶしに持っていった『第二ファウンデーション』を読みながら待っているとやがて合格発表があり、受験番号12番もきちんと含まれていました。しかし、気になるのは何点だったかという事でした。
 その後、また教室に戻って試験の成績表をもらいました。
 結果は念願の100点。これはちょっと嬉しかったです。
 僕は確実に点を取っていく試験って苦手なんですよ。
 センター試験も意地でもっとがんばれば良かったのかも知れません(笑)

 お昼休みをはさんで写真を撮り、印紙を買って申請用紙に貼り、ついでに交通安全協会に加入して無事に免許をもらいました。しかし、撮った写真は最悪。3年間この免許証を使うのかと思うと気が滅入ります。免許の写真ってみんな見せたがりませんよね、そう言えば。
 と、いうわけで晴れてドライバーの仲間入りをしました。
 しばらくは実家の車を借りて運転しますが、そのうち自分の車を買いたいものです。

12月06

 書感です。

「バガボンド 12巻」
 作者:井上雄彦
 原作:吉川英治
 出版:2001年11月22日
 定価:524円
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 柳生石舟斎と出会った事で自らの未熟さを悟った武蔵。
 雑念を捨て、ただ天下無双を目指すため、武蔵は鎖鎌の達人、宍戸梅軒を訪ねる。だが、そこには意外な人物が……。

 柳生石舟斎、宝蔵院胤栄。武蔵は達人と呼ばれる老人達に山のような大きさを感じます。天下無双という頂上はまだ見ることさえ出来ません。ただ一歩一歩強くなっていくという原点に立ち返った武蔵は、また武者修行を続けます。
 一方、佐々木小次郎を名乗り、いつか武蔵と同じところまで登ろうと夢見る又八は相変わらずはったりばかり。様々な理屈を付けては結局何も変わらないへっぽこぶりは健在です。
 どう考えてもこの「バガボンド」のクライマックスは武蔵対小次郎の対決にはるはず。
 小次郎を名乗った又八はやがて本当の強さに目覚める……と思っていたのですが、期待を裏切り続けてくれますね。評判だけが一人歩きし、とんとん拍子で武蔵と対決……という展開にはならないで欲しいですがどうでしょう?
 もちろん、井上雄彦だからそんな事はあり得ないと思いますけどね。又八=佐々木小次郎となり得るのか、それとも天才剣士佐々木小次郎は別に存在するのか、この疑問に決着がつくのはいつでしょうね?
 さて、鎖鎌の達人、宍戸梅軒の話にいきましょう。
 僕のイメージでは宍戸梅軒って武器が変わっているだけで武蔵にあっさり破れてしまったというイメージがありましたが、ここに出てくる宍戸梅軒は宝蔵院胤舜や吉岡清十郎にも負けない本当の達人として描かれています。鎖という不安定な武器を自在に操り、分銅は生き物のように襲いかかります。
「分銅を見切れば俺の勝ち」という武蔵ですが、それが容易でないと言うことも同時に悟っています。
 成長しているのは武蔵だけではないのです。今回の宍戸梅軒はまさにそれを思い知らせる存在なのでしょう。吉岡伝七郎や吉岡清十郎、祇園藤次、柳生兵庫介……。数多くのライバル達が腕を磨いて待っているのです。
 こんな中で、又八はいったいどうなるのでしょうね?
 やっぱりそれが一番、気になります。

12月07

 書感です。

「ファウンデーション対帝国 銀河帝国興亡史2」
 著者:アイザック・アシモフ
 訳者:岡部宏之
 出版:ハヤカワ文庫SF
 定価:600円
 初版:1984年8月31日
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 アシモフの描く壮大な「銀河帝国興亡史」の第二弾です。
 辺境の宇宙でただ一つ、科学力を保っていたファウンデーションは周辺諸国を従え、強力になっていきます。

 力を失ったとは言え、帝国はなおも強力な影響を持っていた。帝国軍の若き将軍はただ一人、ファウンデーションの危険性を訴え、遠征に向かう。セルダン・プランはまたもファウンデーションを救うのか……?

 この『ファウンデーション対帝国』は二本の中編からなっています。帝国との最後の戦い、そしてセルダン・プランで予測できない特異な能力を持った超能力者ミュール。超能力者ミュールとの戦いを境に『ファウンデーション』は物語的に大きな転機を迎えます。
 開拓者であったファウンデーションは強大な力を持ち、保守の時代に入るのです。これまでにセルダンが、ハーディンが、マロウが切り開いてきた道をファウンデーションは守ろうとします。言ってしまえば、それまで魅力的だったものをアシモフは一気に切り捨ててしまったわけです。
 そして現れる新しい主人公たち。彼らは決して保守的ではなく、現行の政府に不満を持ち、自分の信じる道を行こうとします。現代ものの普通の小説の主人公ってそんな感じですよね。
 それまでの『ファウンデーション』はローマ帝国が興った時代の歴史を読むような興奮がありました。そういう面白さをずっと続けていくか、それとも現実的に落ち着くのかアシモフは悩んだかも知れませんね。
 しかし、ファウンデーションという組織の歴史としてはそういう方が面白いのかも知れません。つまり、完璧なヒーローではないという事ですね。そしてこれは続く銀河帝国興亡史3巻である『第二ファウンデーション』への大きな流れにつながっていきます。
 帝国をうち破り、自らが最も巨大な勢力となったとき、ファウンデーションはどうなっていくのか?
「歴史の必然」によって支えられてきたファウンデーションに個人の時代がやってきます。
 普通の冒険小説のようになってしまってちょっと残念な展開なのですが、まだ『第二ファウンデーション』『ファウンデーションの彼方へ』『ファウンデーションと地球』とありますからね。名作として名高いシリーズに期待します。

12月08

 書感です。

「新世紀エヴァンゲリオン 7巻」
 作者:貞本義之
 出版:角川コミックス・エース
 定価:540円
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 いまさらという感がありますが、コミック版エヴァンゲリオンの最新刊です。
 アニメが終わってから何年になるでしょうか?
 コミック版の方も進行が遅いため、新刊が出ると思い出すという感覚ですね。6巻でエヴァ参号機のエピソードが終わり、7巻は碇シンジの暴走まで。だいたい全体の四分の三くらいまででしょうか。
 コミック版はアニメを貞本義之が独自にアレンジしたストーリーでキャラクターの性格なども微妙に違うものとなっています。絵の方はさすがにアニメのキャラクターデザインをしているだけあって完璧ですね。ラフでちょっと暗めのトーンが内容とよくマッチしています。
 原作の消極的な暗さを持つシンジと比べ、コミックの方はごく普通の少年という表の面を持った主人公として描かれているように見えますが、攻撃的な内面も持っていて、イヤミなキャラクターとして仕上がっています。
 さて、エヴァンゲリオンを見ていた人なら誰もがその終盤の展開について何か意見を持っているでしょう。僕としては映像的にも物語的にも面白かっただけに最後の2話の「見せる」という事を放棄してしまった展開は好きじゃないです。
 この貞本版がどういう結末になるかが非常に楽しみ。
 画期的に面白い最後、というのはあり得ないと思っていながら期待してしまうものがあります。
 このペースだとあと2冊くらいで終わると思うのですが、おそらく2,3年後になりそうです。

12月09

 書感です。

「第二ファウンデーション 銀河帝国興亡史3」
 著者:アイザック・アシモフ
 訳者:岡部宏之
 出版:ハヤカワ文庫SF
 定価:680円
 初版:1984年12月31日
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 壮大な歴史を描いた『ファウンデーション』シリーズ、初期3作の最後の作品です。
 銀河帝国の崩壊に伴い訪れる3万年の暗黒時代を千年にまで縮めるため設立されたファウンデーションは、各地の科学力衰退後も保持し続けた科学力を経済力と結びつけ、強大な国家へと発展した。滅びかけながらも圧倒的な軍事力を誇った帝国を崩壊させ、隆盛を極めたかに見えたファウンデーションだったが、暗黒時代払拭のための「セルダン・プラン」で予測できなかった超能力者、ミュールによる新たな国家によって軍事的に滅ぼされてしまう。しかしもう一つ、セルダンによって設立された「第二ファウンデーション」が存在したのだ……。
『帝国対ファウンデーション』はファウンデーションシリーズの大きな転機となる作品でした。ハリ・セルダンによって予測された社会的必然によって帝国は滅び、ファウンデーションは生き残ります。しかし、個人の行動は予測できないという心理歴史学の最大の欠点によって、たった一人の超能力者ミュールの攻撃を受けきることができず、ファウンデーションは崩壊します。設立からたった300年。もちろんこの展開は予想を大きく越えています。

 超能力者と言っても、恐ろしい破壊力を持った人間というわけではなく完璧と言えるほど実に巧妙なやり口で征服を進めていくミュール。そして、この『第二ファウンデーション』はミュールの側から宿敵となる第二ファウンデーションを捜索するという展開になっています。
 次々と発展を遂げていったファウンデーションのドラマにはわくわくさせられたものですが、この第二ファウンデーションの事については一切の情報がなく、まさに謎の組織。

 第一ファウンデーションの物理的な科学力に対し、心理的な科学力を持つという第二ファウンデーションはさながら秘密結社のような存在です。
 常に裏にあって歴史をあやつるという他はメンバーも中心地さえもわかっていません。こういう展開って好き嫌いがありますね。僕はこういう「すべてを裏から操る」という存在が出てくる小説は好きじゃないです。

 どちらかと言えば作者がヒーローとして描いた第一ファウンデーションと違い、この第二ファウンデーションはミュールばかりか後に復活する第一ファウンデーションからも敵対視されています。物語の後半では今度、第一と第二のファウンデーションが争う事になり、その頭脳戦はなかなかの見物です。

 さて、結局は設立から300年。3冊目でこのファウンデーションシリーズは終わります。第一ファウンデーションの科学力と経済力はやがて宇宙全体に広がり、あらたな帝国へと発展していくのでしょう。そして、何かが起きてセルダンのプランから外れてしまいそうな時は第二ファウンデーションが陰から歴史を操って方向を修正するのでしょう。こういう状態でその後700年は進むのでしょうね。

 多少、消化不良気味という感があるし、最初の『ファウンデーション』がもっとも面白かったのは間違いないのでちょっと残念。
 しかし、アシモフはシリーズ終了から30年も経ってその続編となる『ファウンデーションの彼方へ』を書き、ネビュラ賞を受賞しています。と、いうことで続けてそちらを読む予定でいます。

12月10

 書感です。

「最終兵器彼女 6巻」
 作者:高橋しん
 出版:ビッグ スピリッツコミックス
 定価:571円
 初版:2002年1月1日
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 これほどまでに悲劇的な結末しか考えられない漫画もなかなかないですね。滅びゆく世界での恋愛を描いた『最終兵器彼女』の最新刊です。今度はかなり厚く、最終巻は12月25日発売がもう決定。単に連載するだけではなく、コミック化する時の事を考えて作っているのがよくわかります。連載を読んでいる人の話だと、コミック化にあたってはかなりの加筆と編集が行われているようです。

 先月、朝日新聞にも連載終了にあたっての高橋しんのインタビューが載っていましたが、やはりハッピーエンドはなさそうですね。
 自分たちの時間を過ごすため、ちせと二人で街を出たシュウジ。ほとんど人のいない街から街へと旅をしながら、やがて港街で働き口を見つけ、二人の生活を始める。たった2週間の幸せな日々。しかし、そこにも戦争が……。

 現代の日本を舞台にしながら、突然始まる戦争。シュウジはもちろん、読者にさえも日本がどこと戦争をしているのか、どうなっているのかはまるでわかりません。6巻ではおそらく本州は全滅、北海道でもわずかな人間しか残っていない、という状態ではないかと思います。

 物語の雰囲気からしても、日本だけではなく世界中がそうなっているらしいです。人間がなぜ、全滅するまで戦争を続ける事になったのかはまったく不明。
 そして日本における最大の戦力が、シュウジの恋人であるちせなのです。

 ごく普通の高校生だったはずのちせ。しかし、戦闘になればあらゆる兵器を凌駕する性能を持ち、街をまるごと消滅させるだけの破壊力があるのです。もしかしたら人間を滅ぼすのは戦争なのではなく、ちせなのかも知れません。
 そういった底知れない数多くの秘密を残しながら、この6巻では二人の恋愛を描いていきます。どんなに厳しくてもただ一緒にいられるだけで幸せそうな二人を見ていると、この先の悲劇がより切なく感じられるでしょう。

 5巻の終わりで終わっても良かったとも思います。二人が幸せな日々を過ごし、死んでいくだろうという事は予想できる事でした。そしてこの6巻の終わりで物語が終わっても良さそうな雰囲気ではありました。単行本編集の妙と言うか、並々ならぬ情熱を感じますね。
 だからこそ、最後まで二人を見届けたいと思えるのです。

12月11

 久々にゲームの紹介。

「真・三國無双2」
 開発:コーエー
 機種:PlayStation2
 ジャンル:タクティカルアクション
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 タイトルの通り、昨年発売された「真・三國無双」の続編です。「真・三國無双」は三国志の世界の武将を操作し、数人の護衛を共に戦場を駆け回り、敵の武将を討ち取って戦いの決着をつけるという豪快なアクションゲームです。「無双2」ではその面白さをそのままに様々な要素を追加しています。
 前作でも魏呉蜀の28武将が使用でき、けっこうな数だったのですが今回ではそれが41人。そのうち魏呉蜀32人の武将では三国志のストーリーに沿った無双モードを遊ぶ事ができます。
 魏の武将でプレイすれば長坂の戦いで曹操を敗走させ、夷陵の戦いで呉を討ち、五丈原で司馬懿を倒して蜀の天下を実現させる……といった展開に。また、史実では途中で戦死してしまうような武将でクリアすると、その武将はそれ以降のプレイで生き残ったりとファンにとっては嬉しい展開も。
 最初の頃はクリアするとエンディングで空に死んでいった武将の顔が次々浮かぶのですが、様々なキャラクターでストーリーをクリアしていくとその国の武将みんなで祝杯を上げる賑やかなエンディングへと変わっていきます。
 一回のプレイが7ステージから10ステージで2時間から4時間くらいでクリアできるのですが、いろんな勢力の様々な武将でストーリーを楽しむ事ができ、かなりの長期間に渡って遊べるのがいいですね。最近のゲームはクオリティが高くても短く終わってしまうのが多いので嬉しいです。
 また、出撃の際には武器やアイテムを装備して、武将をパワーアップできるのですが戦場を巡ってそういうアイテムを集めるという楽しみもあります。
 ちなみに発売は9月の半ば過ぎでしたが12月になった今でも時々遊んでいます。まだ全武将とはいきませんが25人くらいはクリアしたでしょうか。
 昔はいろんなゲームをやって遊んだものですが、最近はそんなに時間もないし次々に新しいものをやるだけのエネルギーもないのでこういった長く楽しめるゲームで遊んでいくのが一番です。
「真・三國無双2」は爽快感もあり、戦場という空間で自分を勝利に導くために頭も使い、ストーリーやキャラクターなども楽しむことができるたいへん欲張りなゲームです。ゲーム初心者などにもかなりお薦めします。

12月12

 書感です。

「ファウンデーションの彼方へ 銀河帝国興亡史4 上」
 著者:アイザック・アシモフ
 訳者:岡部宏之
 出版:ハヤカワ文庫SF
 定価:640円
 初版:1996年7月20日
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『ファウンデーション』シリーズ全三作が出版されてから30年後、アシモフが新たに書き始めた新シリーズの第一弾となるのがこの『ファウンデーションの彼方へ』です。

 銀河を支配した帝国の崩壊から続く3万年の暗黒時代を1000年にまで短縮するために設立された科学財団ファウンデーション。しかし、その陰には精神科学を発達させ、その歴史を陰から操る第二ファウンデーションの存在があった。超能力者ミュールによって歴史の表舞台に姿を表した第二ファウンデーションは、後に復活した第一ファウンデーションによって滅ぼされてしまう。こうして第一ファウンデーションは第二の帝国と言える程の地位を築き上げたのだった……。
 そしてファウンデーション設立から500年。ファウンデーションの青年議員トラヴィスは議会の席上で驚くべき事を口にする。第二ファウンデーションは滅びておらず、今も銀河を陰から操っている、と……。

 解説が長くなりましたが500年の歴史を短く説明するのは難しいですね。
 さて、ファウンデーションの発展史からだんだんと精神科学による洗脳や陰謀合戦という様相を呈していた『第二ファウンデーション』では多少、物足りなさを感じたものです。おまけに初期のシリーズは設立からたった300年というところで終わってしまっていました。結局、ファウンデーションが何かを解決しても実はそれを支えていたのは第二ファウンデーションだった……というオチになってしまうのでやめたのではないかと思っています。実を言うとアシモフ作品に不満を感じたのはその辺りが初めてです。
 しかし、この『ファウンデーションの彼方へ』ではそういったものをすべて吹き飛ばし、膠着状態だったファウンデーション世界を一気に面白くしました。30年の年月の隔たりはまったく無駄ではないようです。
 危険な発言によってターミナスを追放され、第二ファウンデーション発見の任務を負わされたトラヴィスとそのパートナーとなる歴史学者ペラロット。二人のユーモアに富んだ会話は今も昔も変わらないアシモフテイストの楽しさを醸し出しています。
 ハリ・セルダンの時代から500年が過ぎたファウンデーション世界ではもはやセルダンの歴史心理学が生みだしたプランがその絶対的な信頼性を失っており、人々は自分の力で新しい物を生み出そうという気質に変わってきています。プランを自らの力として活動してきた黎明期から、プランへの信頼が無気力を生んだ退廃期。現在は転換期というところでしょうか。
 そうした流れは歴史として記録されてはいるものの、様々な事実を知っているのは読者だけ。これほどまでに神の視点が楽しい小説もなかなかないです。
 さて、物語は下巻へと続きます。

12月13

 書感です。

「ファウンデーションの彼方へ 銀河帝国興亡史4 下」
 著者:アイザック・アシモフ
 訳者:岡部宏之
 出版:ハヤカワ文庫SF
 定価:640円
 初版:1996年7月20日
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 ファウンデーションの議会を追放された青年議員トラヴィスは地球探索を熱望する歴史学者ペラロットと共に伝説の惑星ガイアを目指す。だが、第一ファウンデーションの首都、ターミナス市長ブラノと第二ファウンデーションの指導者の一人であるジェディンバルも共にトラヴィスを追ってガイアに接近しつつあった。これまで公式に出会ったことのない両ファウンデーションの邂逅は銀河の歴史に何をもたらすのか……?

 無鉄砲だが好青年、情熱はあるが本当の意味での高度な政治取引をするには経験が足りないというトラヴィス青年は主人公として実に魅力的なキャラクター。おまけに彼は不十分なヒントから正しい結論を引き出すという特殊な直感力を備え、第二ファウンデーションからも注目される存在です。パートナーのペラロットは学者生活が長いため高齢ながら世慣れておらず、トラヴィスをいらいらとさせますが、深く他人を信頼し、無私に行動することのできる好人物。短編の中にも魅力的なキャラクターを織り込んでいくアシモフですが、長編になるとその魅力はさらに増していきます。
 これまでの主人公達、セルダンやハーディン、マロウやアーカディは伝説の人物となっていますが、このトラヴィスはおそらく歴史の表舞台に立たない人物。その直感力は完全に客観的に正しい事柄を見抜くという力なのですが、これが逆に本人を悩ませます。トラヴィスは感情的ではありながら理性を重んじる人物なので、自らの決断を信じていてもその理由を論理的に説明できなければ気がすまない質なのです。結果がわかっていてもその理由を求め、数学の証明のように筋道を立てて探索を続けていく事になります。
 今回、物語上で大きな役割を果たすのは「ガイア」という存在です。ガイアは惑星ガイアを中心として生きる生物全体の意識で、それぞれが個性を持ちながらも全体としての知識と感覚、そして力を共有します。
 科学力と経済によるファウンデーション支配は第一帝国と同様のもの。精神力によって他人の精神を微妙に操り、社会を望む方向に変えていくファウンデーションの支配は完璧と思えるもののその真実に大多数の人は耐えられない。
 どちらの支配も結局は永久と言えるような安定を引き出す事はできないでしょう。その二つの狭間でトラヴィスは苦悩する事になります。
 そしてトラヴィスは最後に決断を下す事になるのですが、それが本当に正しいかどうかは読者にも疑問なのです。
 その理由を求め、トラヴィスはまた旅に出ます。
 そして「ファウンデーションと地球」に続く大長編となります。トラヴィスはアシモフ小説の主人公としてはかなり長い出番になりますね。

12月15

 書感です。

「シーマン語録」
 編者:斉藤由多加
 出版:ダイヤモンド社
 定価:1000円
 初版:2001年11月8日

 SEGAのゲームソフト「シーマン 禁断のペット」をご存じでしょうか? 人間の顔を持った謎の生物シーマンは段々と言葉を憶えながら進化し、稚魚から両生類へと成長していきます。
 ペットを育てるようなゲームは癒し系のものがほとんどですが、この「シーマン」の特徴は毒舌。飼い主にいろいろと嫌みを言ったり社会風刺をしてみたりし、その容貌の不気味さとあいまって実にかわいげのないペットです。
 そんなシーマンの言葉を集めたのがこの「シーマン語録」です。僕自身はこの「シーマン」を遊んだことはないのですが、最近はPS2版も発売され、けっこう売れ行きも好調らしいですね。
 さて、中身の方ですが仕事編、恋愛編、などジャンル別にシーマンの言葉を集めてあるのですが、内容的にはごく普通といったところでしょうか?
 おそらくこれはゲームの中で飼っているペットが喋るから面白みがあるんでしょうね。ただ文字として読む分にはそれほど奇異な感じはありません。「もっともだ」と思うような言葉が多いのですがそれだけにあまり面白みはないです。
 しかし、河などから捕まえられてきて粋そうで飼っているペットが日本社会について語ったりしているかと思うとそれはなかなか可笑しいですね。
 どこから知識を得ているのでしょうか?
 テレビからなどだとしても、何故かホステスについて語ったりしています。
 架空の生物についていろいろ論じるという趣向のものは昔からいろいろありますが、シーマンもなかなか凝っていて生物としてでなく人間の文化に関わるものとしての設定がいろいろあるようです。その辺りは公式サイト(http://www.seaman.tv/) にいろいろ載っていますので興味があったら行ってみるといいでしょう。


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