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| 7月1日から2日の読書と生活 #0725 |
| ■書感『20世紀少年 9 ラビット・ナボコフ』 作者:浦沢直樹 出版:小学館ビッグコミックス 定価:505円 初版:2002年8月1日 関連:『20世紀少年』 子供の頃、自分が書いた「あくのそしき」の計画が実行に移されている……。そう気づいたケンヂはそれを止めるため、昔の仲間達と立ち上がった。時は1999年。大みそかの惨劇は止められ、ケンヂたちは21世紀の英雄になるはずだった……。 それから14年。日本は世界を救った「ともだち」が支配する恐るべき管理社会になっていた。テロリストとして歴史に名を刻まれたケンヂの姪、カンナは彼らの無実を信じ、「ともだち」と戦う……。 20世紀少年の筋を解説してしまうと実にあっけないですが、物語が始まったときにはまったく予想もしなかったこの展開。浦沢直樹は実は、最後まで考えずに書き始めたのではないか……などと邪推してしまいます。 浦沢直樹の書くキャラクター達は実に漫画的でシンプルに書かれていますが、一人一人の顔には性格だけでなく、それまで歩んできた人生が刻まれているようです。 第一部の主人公だったケンヂは一見主人公顔でありながら、微妙につり目だったり唇が厚かったりして、どことなく妙な印象を与えます。ケンヂの友達連中もやけに個性的な顔立ちです。しかし、そんな彼らがいざ戦うとなると同じ眼をして立ち上がるのです。子供の頃の夢を忘れ、日常生活に苦心する彼らがやがて世界の救世主となる……という筋にどう持っていくのかわくわくしながら読んでいたものですが、前述したようにそんな予想は覆されます。 十分に面白いと思っていたストーリーですが、浦沢直樹はその程度で満足しないようです。 これまで、2014年世界のあちこちを見せてくれていた第二部もこの巻でついにストーリーが進み始めます。ケンヂの無茶な性格を受け継ぎながらもさらに何か大きな力を持っているカンナ。彼女がこれからどんな活躍をしてくれるのか、実に楽しみです。そしてやはり、ケンヂが物語に戻ってくる瞬間を期待してしまいますね。 (2002/07/01) ■書感『オンリー・ミー 私だけを』 著者:三谷幸喜 出版:幻冬舎文庫 定価:571円 初版:平成9年4月25日 朝日新聞に連載している「三谷幸喜のありふれた生活」というエッセイがあまりに面白いので他にエッセイをと思って探してみました。元々、三谷幸喜の名前は田村正和主演の推理ドラマ『古畑任三郎』で知ったのですが、この『オンリー・ミー』を読んであの脚本に納得。 劇団の作家である三谷幸喜は、所属役者を一通りうまく使って脚本を書く必要があります。つまり、脚本があって役者を選ぶのではなく、まず役者がいてその魅力を引き立たせるために脚本を書くわけです。 古畑任三郎では毎回登場するゲストが犯人となりますが、そのキャラクターがあまりにゲストにはまっているのが何より面白かったのです。ゲストを決めてから脚本を書く三谷幸喜ならでは、というドラマになって当然ですね。 テレビで見る三谷幸喜はいつもテレビ慣れしていないというか、素人っぽい雰囲気を漂わせています。落ち着きはないし、笑わせようとがんばっている……というイメージも強い。しかし、それを真面目な顔をしてやっているので結局は笑ってしまうわけです。 エッセイもまさにそのまんま。もちろん文章に素人っぽさはまるでありませんが、いくらなんでもこれは地で書いていないだろう、と思います。しかし、もしかしたらそれも意図的に与えている印象なのかも知れない、そうやって笑わせようとしているのかも……などと考えて深みにはまります。 とにかくわかっているのは、三谷幸喜はおかしな人(いろんな意味で)だという事ですね。いや、ほんとに面白いです。 (2002/07/02) |
| 7月3日から4日の読書と生活 #0726 |
| ■書感『わたしが殺した少女』 著者:原寮 出版:早川書房JA 定価:660円 初版:1996年4月10日 関連:私立探偵沢崎シリーズ 『そして夜は蘇る』に続く、私立探偵沢崎シリーズの第二弾です。今度こそ沢崎の過去の話……と思いましたがそんな事はありませんでした。まあ、結果がどうなるかわかっている話を書いても仕方がないのかも。それに、駆け出しの探偵はハードボイルドに向かないでしょうしね。 一本の電話で呼び出された、私立探偵の沢崎は自分が誘拐事件に巻き込まれている事を知る。身代金の受け渡しを引き受けた沢崎だったが、さらなるアクシデントが彼を襲う……。 新宿の一角に事務所を構える沢崎は、特別な良心や正義感は持ち合わせていませんが、必要以上の調査料は取らず、納得のいかない依頼は決して引き受けず、引き受けたからには納得できるまで調査を続けます。 何者かによって罠にはめられた沢崎は、何よりも自分のプライドを傷つけられ、警察とは別に誘拐事件の手がかりを追う頃に。徹底的にあらゆるものを疑い、消去法で可能性を消していく捜査法は地味ですが、そこには沢崎の信念がこもっており、彼の生き方そのものだとも言えます。 一人称で語られているこの小説にさえ、あまり感情の起伏を見せない沢崎の悲痛な心の叫びが全編に満ちています。 しかし、物語の最後に犯人と退治しても、沢崎はそれを怒りに変えることはありませんでした。結局、事件によって失われたものは何も戻らない。そして、犯人さえも様々なものを失っています。沢崎はそうした事件に関わり続ける事によって、自分の中からも様々なものを失ってきたのかも知れません。 余韻の深い作品でした。 (2002/07/03) ■書感『J.boy 1〜2巻』 著者:能條純一 出版:小学館ビッグコミックス 定価:505円 初版:2002年8月1日 関連:『月下の棋士』 『月下の棋士』で壮絶な勝負の世界を描いた能條純一。今度はビリヤードの世界を舞台に、あの命をかけた駆け引きが帰ってきました。 記憶がなく、自分の名前すらもわからない少年は、台湾緑島監獄島に収容され、J.boyと呼ばれた。青幇のボス、王紫文の導きによってビリヤードをたたき込まれたJ.boyは命をかけて紫文と勝負することに……。 将棋盤が宇宙なら、ビリヤードの玉が互いにぶつかりあい、弾けてポケットに収まる様子は人生なのか、J.boyと呼ばれた少年は冒頭から数奇な運命をたどる事になります。 青幇のボス、王紫文から聞かされたJ.boyの意外な素性が本当なのかどうかもわからないまま、物語は2巻で王紫文の過去へと飛びます。J.boyに何があっても消えない愛を探せという紫文の過去はまた、恐ろしく波乱に満ちた悲劇の物語です。 『月下の棋士』の主人公、氷室将介は将棋のみをひたすら愛した男でしたが、この『J.boy』では愛とビリヤードという二つの言葉がキーワードになりそうです。 どうにも地に足の着かないおかしな設定で始まったこの漫画ですが、やはり能條純一だけに放ってはおけません。早くも圧倒的なその雰囲気に呑まれてしまいそうです。 これからどう展開していくのかまったく予想もつきません。 そういう漫画こそ読みがいがあるというものです。 (2002/07/04) |
| 7月5日から6日の読書と生活 #0727 |
| ■『幻想運河』 著者:有栖川有栖 出版:講談社文庫 定価:552円 初版:2001年1月 関連:有栖川有栖 有栖川有栖の長編小説です。シリーズものではない独立作品。いつもとはひと味違った有栖川が堪能できます。 オランダ、アムステルダムに滞在する恭司は現地で知り合った日本人を中心としたグループで麻薬の快楽に耽る。メンバーの一人がバラバラ死体で発見され、恭介は麻薬による幻想の中、様々な推理を巡らせる……。 奇しくも『マレー鉄道の謎』に続いて外国を舞台にした有栖川作品を続けて読むことになりました。ここで描かれるのは運河の街、アムステルダム。大阪を舞台にしたミステリが多い有栖川ですが、大阪も同じ運河の街だという事で親しみがあるのかも知れません。『マレー鉄道の謎』でもそうですが、土地の持つ雰囲気や土地に対する親しみというものが強くでています。事件の方はバラバラ殺人事件で、かなりセンセーショナルな内容ですが、この『幻想運河』はあまりミステリ色が強くなく、そちらの推理や調査は主として警察の仕事になっています。それよりも注目すべきなのは、事件をきっかけとして動いていく人間関係でしょうか。 異国の地で知り合ったという事で親しくなっていたが、深く考えてみると仲間の事は何も知らない。そんな疑心暗鬼を麻薬が増幅して恭司を苛みます。 麻薬の幻想の向こうに恭司が見たイメージはいったいなんだったのか。その解釈はあくまで読者に委ねられます。 本格にこだわる有栖川らしくないと思う一方、人間の精神世界を深く追求していく幻想的なストーリーが有栖川らしいとも感じさせる作品でした。 (2002/07/05) ■『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン 12巻』 作者:荒木飛呂彦 出版:集英社ジャンプコミックス 定価:390円 初版:2002年7月9日 関連:ジョジョの奇妙な冒険 3つの事しか記憶していられなくなるスタンド「JAIL HOUSE LOCK」の攻撃を受けた徐倫は絶対絶命の窮地に陥りながらも本体を倒し、ついに刑務所を脱出する。一方、徐倫を追ったウェザー・リポートとアナスイは奇妙な現象に襲われる……。 あいかわらずと言うか、荒木飛呂彦の考えるシチュエーションは想像を遙かに超えています。「3つしか記憶できない」というのは何かの映画であったそうですけどね。4つめの物事を見ると前の事を忘れてしまう徐倫の努力が涙ぐましいです。この恐ろしさは本当に笑いと紙一重。ブラックコメディの世界ですね。一昔前の荒木宏彦はもっと生理的な怖さでしたが、だんだんとその質は変わっています。 それを受けて次の敵となるスタンドはまたそのスケールが桁はずれ。スティーブン・キング的な怖さかも知れません。『図書館警察』や『it』を思い出してしまいます。もはやこの先どうなるかは予測不可能ですが、世間をまったく知らないというウェザー・リポートの生い立ちが突破のために鍵になりそうです。久々の新刊だったので次はすぐ出るのかも。続きにはかなり期待しています。 (2002/07/06) |
| 7月7日から9日の読書と生活 #0728 |
| ■書感『ハリー・ポッターと賢者の石』 著者:J・K・ローリング 訳者:松岡佑子 出版:静山社 定価:1900円 関連:映画『ハリー・ポッターと賢者の石』 ついに読みました、ハリーポッター原作です。 やはり映画を先に見たかいがあったようです。原作を読んでから映画だとほんとにただ映像化をしたというイメージになってしまいますね。一冊でハリーの一年を書ききった原作を2時間映画で表現するのはさすがに辛いでしょう。 しかし、原作にある遊び心をうまく伝えるという意味では良い出来だったかも知れません。 幼い頃に良心を亡くし、意地悪なダーズリー一家に育てられたハリー・ポッター。そんな彼の元に、ホグワーツ魔法学校から入学許可証が届けられた。魔法世界ので驚きの毎日を送るハリーはやがて、自分の中に秘められた才能を開花させていく……。 この作品が面白いのは、本当に根気強く魔法世界の楽しさを語っていくからでしょう。あるいは、出し惜しみしているのかも知れません。ハリーの驚きはそのまま読者の驚きとなり、常に次には何が起こるのかを楽しみにページをめくります。 そして、物語の軸にはハリー、そしてポッター家の秘密があります。もちろんこちらも簡単には明かされません。と、言うよりこの巻では何もわからないと言うに等しいです。 ハリーは自分の成長と共にそれを知っていかなければならない。そこに到達するための長い時間も彼には必要なものなのです。物語の中で時計の針を進めていくのはごく簡単な事ですが、それをせずにゆっくりとした時間を楽しませてくれる著者のローリングこそ本当の魔法使いのようです。 10月に4巻が出るという事ですので、8月に2巻、9月に3巻と読んでいこうかと思ってます。 (2002/07/07) ■書感『スパイダーマン 5巻』 原作:平井和正 作画:池上遼一 出版:メディアワークス 初版:2002年7月19日 関連:池上遼一『スパイダーマン』 最初はアメコミの原作『スパイダーマン』のシナリオをそのまま書き起こしていたようですが、原作に平井和正を加えて様相は大幅に変わったようです。繊細さと陽気さを兼ね備えた原作と違い、ひたすら自分の内で悩み続ける根暗な池上遼一のスパイダーマンは書かれた当時、ベトナム戦争の頃の社会を象徴しているのかも知れません。 日本版スパイダーマンの何よりの特徴は、主人公ユウが自分の欲望と戦わなければならない事にあります。力を悪用したいという欲、突如襲ってくる暴力的な衝動。大きな力はまずユウ自身を苛みます。 特にこの5巻はユウ以外にも超能力者を登場させ、力を持ったものの悲劇を通して人間の暗黒面をえぐるような話になっています。人の欲望を増幅させてしまう教師や、復讐心が虎となって具現化してしまう歌手などに対し、ユウのスパイダー能力は無力です。 どれだけ素早く、力が強くても本当の悲劇に対しては何もできない。巻が進む事にそんなユウの思いは強まるばかりです。 正直言うと、ここまで来たらもう『スパイダーマン』ではなくただ暗いだけの漫画になってしまっていますが、池上漫画としての原点を見るようではありますね。 (2002/07/08) ■書感『戦闘妖精・雪風<改>』 著者:神林長平 出版:ハヤカワ文庫SF 定価:700円 初版:2002年4月10日 関連:続編『グッドラック 戦闘妖精・雪風』 ややこしいのですが、これは『戦闘妖精・雪風』の改訂版。 先日紹介したのは続編の『グッドラック 戦闘妖精・雪風』になります。 機械と人間の関係をテーマに深く掘り下げた『グッドラック 戦闘妖精・雪風』は単に戦争小説というだけではなく、最新のコンピューターの概念を取り込んだ作品だったわけですが、20年前に書かれた元作品はさすがにそうもいかなかったらしく、続編に合わせて改訂が為されたようです。 しかし、読んでみたところところどころ古いコンピューター描写などが残っていたりもしました。 南極に出現した異空間から地球侵略をはじめた謎の生命体ジャムと戦うため、人類は異空間の向こうの地、惑星フェアリイに実戦組織FAFを結成した。そして30年、未だ続く正体不明のジャムとの戦闘に戦術戦闘電子偵察機、雪風と共に大空を舞う特殊戦大五飛行隊の深井零はいた……。 続編『グッドラック』で何度も「人間らしくなった」とブッカー少佐に言われたいた零。この『戦闘妖精・雪風』はまさに冷徹というより非人間的な零の行動から始まります。通常の神経を持つ人間なら躊躇するような状況でもすかさず行動できる零だからこそ特殊戦として選ばれ、生き残ってきたわけです。 しかし、物語が進んで行くにつれて零の本質は非人間的な部分ではないと気づかされます。 そんな零が人間的になっていったきっかけはやはり雪風。 『グッドラック』とは違ってまだ個性らしきものを発揮できない雪風は深井零に機械と人間の違いを意識させます。雪風だけが全てと思って生きている零。自分の存在意義は戦争に勝つことでそのために人間は不要と言わんばかりに雪風。『グッドラック』で機械と人との究極の結びつきを見せた彼らですが『戦闘妖精・雪風』では逆に両者の離別がテーマになっていると言っていいでしょう。 クールな描写に白熱の戦闘シーン。エンターテインメントとしても一流ながら、そこに留まらず深い深い問いかけをしてくるこの作品が日本SF史上に残っているのは実に納得です。 (2002/07/09) |
| 7月10日から12日の読書と生活 #0729 |
| ■書感『猟犬探偵』 著者:稲見一良 出版:新潮文庫 定価:400円 初版:1997年7月 関連:稲見一良 短編集『セントメリーのリボン』の表題作に登場した、猟犬専門の探偵、竜門卓を主人公にした短編集がこれ。稲見一良の狩猟小説とハードボイルドを融合させたレベルの高い作品となっています。 永遠の不良老人を自称し、かなり年輩でデビューしながらもすぐにこの世をさってしまった稲見一良ですが、彼の書く作品はどちらかと言えば老練さよりも、若さと勢いに溢れているような雰囲気があります。 もちろん、渋みに溢れたストーリーや登場人物達は若い作家に描けるものではないでしょうが、そこには著者自身の夢が詰まっているのがありありとわかります。 猟犬専門の探偵という類を見ない職業だけに、そこに寄せられる依頼もなかなか普通のものではありません。猟犬専門と言いながらも、盲導犬や飼い犬などの捜索を引き受けるはめになってしまうのは、依頼主の抱える様々な事情に興味を惹かれたり、同情したりしてしまうからです。 山奥に暮らし、質素な生活を送りながらも、実は人とのふれあいが嫌いではない竜門。完全にハードボイルドにはなりきれていない微妙な位置づけが逆に魅力的です。 こういう短編を読むと、著者が続編を書くことなく亡くなってしまったのは非常に残念。 残り少ない作品を楽しむ事にします。 (2002/07/10) ■11日分はお休みします (2002/07/11) ■ゲーム『幻想水滸伝3』 機種 :PlayStation2 ジャンル:RPG 開発 :コナミ 11日、ついに発売となった幻想水滸伝シリーズの最新作です。普通のRPGでは何人かの仲間と共に世界中を飛び回り、巨大な悪と戦っていくというのが定番ですが、幻想水滸伝で描かれるのはいつも人と人との戦い、舞台はあくまでその周辺の一つの地方に過ぎません。 時代が動くとき、それを目撃し、関わっていく人々を宿星といい、幻想水滸伝ではその108人の仲間と共に戦っていく事になります。 今回は三人の主人公が存在し、それぞれの視点から物語を見つめるというシステムが加わりました。最初は単なるザッピングかと思っていましたが、単純な善と悪が存在しない幻想水滸伝では、このシステムが活きており、まだ始めたばかりですがこれからの展開が楽しみです。 (2002/07/12) |
| 7月14日の読書と生活 #0730 |
| ■書感『宇宙の小石』 著者:アイザック・アシモフ 出版:ハヤカワ文庫SF 定価:640円 初版:1984年9月 関連:アイザック・アシモフ ロボット史から始まり、『鋼鉄都市』シリーズから『ファウンデーション』シリーズへと続くアシモフのSF世界。そのうち『鋼鉄都市』と『ファウンデーション』の中間に当たるのがもの作品です。 引退した仕立て屋、シュバルツはある日、自分のまったく関知しない事故によってはるか未来の世界へと飛ばされてしまう。そこでは人類がはる宇宙に進出し、銀河帝国を築いていたが、地球は人類発祥の地であるという事も忘れられた存在だった。しかし、その地球では自らの地位を取り戻そうとする恐るべき陰謀がたくらまれていた……。 シュバルツが放り出されたのは『ファウンデーション』に登場する銀河帝国の最盛期。ハリ・セルダンの時代には斜陽の時を迎えていた帝国ですが、『宇宙の小石』はそれよりもかなり前のようです。と、言っても物語は辺境の惑星、地球で展開されるためあまりわかりません。 言葉も何もわからないシュバルツはある科学者によって、脳の機能を強化され、天才的な能力を持つ事になります。引退した仕立て屋が突如として素晴らしい力を持ってしまうという展開なのですが、知人も誰もおらず、孤独な存在となってしまったシュバルツにはあまり喜ばしい事ではありません。 実はこのシュバルツが『ファウンデーション』シリーズの『第二ファウンデーション』に連なる重要な人物なのでは……と思うのですが、解説などでも特にその点には触れていなくて残念。実を言うとこの作品、あまりアシモフ得意の壮大さや気の効いたオチはないので少々不満でしたが、ラストのなんでもない日常が温かく、やはりアシモフのストーリーテリングは素晴らしいと確認できます。 (2002/07/10) |
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