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■書感『しゃべくり探偵
ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの冒険』
著者:黒崎緑
出版:創元推理文庫
定価:600円
初版:1997年1月31日
口を開けばしょうもないボケしか出てこない大学生の保住くんは、実は類い希な推理能力を持った安楽椅子探偵。今日も友人、和戸くんの遭遇した不思議な事件にボケながらも真相を解き明かしていく……。
カバー絵はミステリを題材にした作品集『コミカル・ミステリーツアー』なども出している4コマ漫画の鬼才、いしいひさいち。このいしいひさいちの絵が、何より作品の内容にマッチしています。
短編が4つ入っているのですが。これがまたすべてベタベタ、コテコテのギャグだらけ。ボケの保住くんも去ることながら、ツッコミの和戸くんも相当にしょうもない人間です。
特徴的なのは、情景描写などが一切されない事。4編のうち3編は会話のみ。1編は手紙のやりとりのみで構成され、言ってしまえば本当に漫才です。
ミステリとしてはまあ、普通なのですが、ボケにボケを重ねてまったく話が進んでいないように見せかけながらきっちり推理のための材料を引き出しているという手法はなかなかで、ツッコミの和戸くんが真面目に話を聞かない保住くんにイライラをつのらせていく気分をそのまま味わえます。
「読者への古戦場や!」
「お前とはもうやってられん」
「ほな、さいなら〜」
本当に漫才でやっていたら、この二人のしゃべりについていくために必死に頭を働かせなければならなさそう。もしくは、馬鹿馬鹿しい笑いに気を取られてまったくミステリと思えずに解決編までいってしまうかも。
数あるミステリの中でも、これはかなり異色。作者の黒崎緑が他にどんな作品を書いているのか、かなり気になります。
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